東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「ブラックジャックからのメッセージ2」

・命の対価

昨日の続きになるが、ブラックジャックのコトバで「人間の命を預かる医者が大金を貰って何が悪い」という有名な台詞がある。

この台詞から手塚治は私達にやっていることの「プライド」と人間に対しての「イノチの価値」を問いかけているように感じる。

これは医者だけでなく全ての人間に言えることで自分が取り組んできたこと、やっていること、そして自分のイノチに対して価値を付けることの重要性を言っている。

例えば絵画一つ例に挙げてみても、作品の値段には書いた人間の費やした時間、お金、労力、情熱といった自分が作品に費やしたイノチの値、そして付加価値が含まれている。
もし本当に自分が欲しい、必要だというヒビキが作品にあるのなら、付けられた値段に対し付加価値を理解して支払うことが作品を作った人への敬意になる。

それは医療に関しても同様のことが言えて、ブラックジャックが世間的に高いといわれる値段を請求するのは患者に対し「自分の命の値段」と「生きる意志」を問いかけているのだと思う。

このような捉え方をすると「治療」に対しての対価は決して高いと思わないことが治る最良の薬ということになる。それが自分で壊したカラダに対しての責任であり、自分のイノチの努めではないだろうか。

手塚治の作品には人間はもっと自分の命の価値を認識するべきというメッセージがあり、自分も含めて己の命に対して自己責任を全うしていかなければならないと強く思う。

それにはまず生活に追われないこと。そして自分で見ている価値観を生活ではなく、イノチというステージで価値観を構築していくことが大切なのだと思う。
確かに「美味しいものを食べたい」「良い家に暮らしたい」という要求は誰にでもある。
しかしそういった暮らしの価値観は現象的なものであり、絶対的なものではない。現象の価値は追求していけばいくほど、新しいものを求めてしまいきりがないのである。

物で満ちた現在だからこそ本当の人間が持たなければならない本当の価値観を手塚治や橋本先生はメッセージに残されている。

最後になるが、手塚治と自然法則との相関性という観点でこの本を読んでいった時に面白い台詞があった。
それはブラックジャックの恩師である本間丈太郎が死ぬ間際に
人間が生き物の生き死にを自由にしようなんておこがましいと思わんかね
という台詞である。
これを私なりに解釈すると人間が人間らしく自然の法則に乗っ取り生きていれば医者は必要に無いのだよ、ということで、「自然界と仲良くしなさい」という手塚治、または橋本先生からのメッセージのように聞こえる。