東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

姿勢その1

 佐助が担当する三日目です。よろしくお願いします。

 農業ネタばかりですと農業を本職にしたのかと思われますが、リハビリテーション科に勤務し、ありがたいことに毎日20名ほどの予約がうまっていて、臨床を真剣に取組んでいます。

 特に女性に多いかもしけませんが、臨床をしていて、「姿勢が猫背にならないように気を付けている」と言われる方を身受けます。美しい体系・姿勢を維持したいという自我意識が強いのかもしれませんが、美しい姿勢とはどういった姿勢なのでしょうか。  
 大抵の方は、学校の先生や両親などに姿勢を正す場合に「背筋を伸ばしなさい」と指導を受けた記憶があると思います。この見た目だけに特化した姿勢矯正をすると、大抵の場合、胸を張る事を強調するか、腰椎を反って(伸展)背筋を伸ばす姿勢になってしまいます。

 姿勢矯正による背筋を伸ばすと、からだはどういう状況なのかを簡単に紹介してみます。
 胸を張る事を強調するか、腰椎を反って背筋を伸ばす姿勢によって、足底の重心は踵へ移行し、膝関節は完全伸展、骨盤の重心が前方に移行しながら後弯曲(前傾)します。これによって下肢が完全にロックした状態になります。そして体幹は伸展しますので、背中の筋は収縮(等尺収縮)した状態になり、背部の筋緊張が高くなって姿勢を矯正(強制)しています。
 この姿勢で、実は体調を崩している方が多いのではないでしょうか。

 腰椎だけをとってみても、骨盤や下肢をコックした状態で、腰椎を伸展するわけですから、椎間関節にストレスがかかることや、狭窄症がある場合には神経が絞扼されやすくなり、またすべり症がある場合は腰椎が更に前方に押し出される形になるなど、多くの症状悪化をまねく可能性が示唆されます。

 姿勢を良くするために「背筋を伸ばす」というのは、実はからだに負担をかけていて、痛みなどの症状悪化の原因になっていることが多く、このような方には身体運動の法則を指導することで改善がみられるケースをよくみます。

 明日は自然体立位について書きたいと思います。
 今日はこのあたりで・・・。ありがとうございました。