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東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

おさめ⑤

日下和夫(くさかかずお)

 カラダにおける血液の粘稠度は、水の五倍といわれている。 そんな血管は柔軟であることから、水流の原理である「水量の六乗」、いわゆる二倍の水量では六四倍の力が働くことになる。 しかし、水と同じ法則ではないものの、流れとしての流末は血液も同じである。 

 

 たとえば今、心を明朗にしたとしよう。 すると自律神経の働きが活発性を加えることによって血液の循環がよくなってくる。 その血液循環が良くなると、それが知覚神経を通して心を明朗にする。 その心が明朗になると、今度は健康が増してくる。 健康が増してくると、心がもっと明朗になってくる。 このように心とカラダとは、無限に跳ね返していくものである。 このことは、嬉しいときには顔が紅潮して、空腹感が起こってくることでもよくわかる。 これがもし、カラダの方が不健康であったり、あるいは心の方が不明朗であったとすれば、片方の努力も空しく消えていくしかない。

 

 さてそれと同時に、心地いい風呂に入ったとする。 すると水温の刺激が効いて血行がよくなる。 心とカラダとの両面から同時に、血液の循環を良くしたわけである。 血行の路は、まったく同一の血管であるから、二面からの良い刺激が、同じ一本の血管を洗っていくことになる。

 

 水流のように水量の六乗の力になるというのではないが、血液もそれと同じ流末が働くものと見ることができるのである。 カラダと心とを同時に、強化すれば、濁った血液を浄化する力は、血行の量が二倍になったのと同じ六四倍ぐらいの高水準になりうるはずである。

 

 治療の原理は一元であって、それは血液を清めればよいのであるが、その清め方というのは、心とカラダの二者が拮抗して助け合うことで、相乗効果が発揮されることになる。 長年、あらゆる医療の努力を重ね、心理学に基づく心の転換にも努めてみたものの、ついに治めきれなかった疾患が、快適感覚を収めることによって、いとも容易に回復する事実を、目にすることができる。 そのような快適感覚は、カラダの健康についても、心の健康についても最高度の道を開き、最頂点の境に達していると思える。