東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

おさめ⑥

 病気のありとあらゆる原因は、血質の低下と血行不良であると、すでに述べたところである。 その原因として、呼吸が浅くなって、食べ物が乱れると、血質が落ちてしまう。 その血質が落ちると、血液が粘りついてくるので、必ず血液の循環が悪くなる。 また、皮膚が弱くて、姿勢が歪んでくると、やはり血液の循環も悪くなる。 その血液循環が悪くなると、血液が澱んで腐敗するので、やはり血質も落ちてしまう。

 

 そんな血液でも、呼吸を深くして酸素が十分に入ってくると、粘りついた血液がたちまちサラサラとしたきれいな良い血質に変身してしまう。 また、生野菜のようなアルカリ性食品を摂取すると、どす黒い血がたちまち鮮やかな色の血に変えてくれる。 結論として、血液を清めるには、呼吸と食べ物とを同時に収めていくことにより、どんなに濁った血であっても必ず健康な血に変えることができるということだ。

 

 血液の循環についても、血質と同様、血の流れを良くするには、必ず皮膚の鍛錬と、筋骨の調整とを同時に収めていかなければならない。 皮膚が弱くなると血の流れが悪くなる。 また、筋肉に凝りができて、骨格が崩れても、血の流れが悪くなる。 このことは、肩を堅くして、腰を前に突き出しているような人が病気になりやすいことでもよくわかる。

 

 皮膚を丈夫にすることと、筋骨をやはり同時に調えることで、血の流れは良くなる。 長年、血が滞り続けて、癌などの腫瘍ができたとしても、それを治める方法は、さし当りそこに血の流れをつけることにある。 しかしそれには余ほどの強い血液循環の力が必要になってくる。 そのためには、皮膚からの血流と、筋骨からの血流とを、同時に収めなければならないということだ。

 

 呼吸と食事は、血の質を良くし、筋骨の動きと皮膚の鍛錬は、血の流れを良くする。 血の質と血の流れは、一枚のコインの裏表であるという所以はここにある。