東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

忘れられている呼吸

臨床の最中に、からだに起こっている「呼吸」の変化に

ただただ魅せられることがあります。

 

それまでは小さく、浅く、隠れてしまっていたような呼吸の営みが

まるで、水平線の向こうから静かに、ゆったりと

よせてはかえす、波のリズムに見えてきたり、

吸気に伴う胸郭の膨らみから

山脈が何百年、何千年という時間をかけて隆起しているようなイメージを想起したり。

 

ちょっとオーバーかも知れませんが、からだを前に

そんな雄大な「自然」を前にしているような

感動を味わうことがあります。

 

そういうときの呼吸からは、充分な「間(マ)」を感じます。

このときの「間(マ)」は

アタマで思考して

生み出す類いのものとは

質の違うもののように感じます。

 

からだの中には、こんな雄大な呼吸の営みが眠っていたのか

と驚くとともに、

なぜ普段の生活の中では、忘れ去られてしまっているのだろうかと、

 

この呼吸を眠らせてしまっているのは何なのだろうか、と

不思議で、仕方がありません。