「鵞足」
左膝の内側を重心軸としてとらえて診ると、その内側とは、どの位置で、どの部位に相当するのか?興味深いところだ。膝蓋骨より内側の脛骨骨頭のスグそばにガソクがある。このガソクを調べてみると、「ここが重心軸だよ」と判断しうる材料がそろっている。まず、ガソクに関与している筋肉は、一つは薄筋、二つめは半腱様筋、そして縫工筋である。タテにハミング(ラセン)している。これを診る限り、重心軸のポイントが鵞足にあることが検証できる。
僕は岡村君のように生体の解剖学も生理学も病理学も免疫学もあまり知らない。必要に迫られ知るため、最低限の範囲のことしか知らないから困ったものだが、「この鵞足が重心軸と判明すれば」と思い、いろいろと情報を集め、集めた情報を照らし合わせていくと、ピーンとヒビクものがある。
ヒビクことは、一つの直感の積み重ねによるものだが、あまりハズレたことはない。
わかってくると、みかた、とらえ方がガラリと変わる。
重心軸を従来どおり、膝の正中にとらえていたら、鵞足の存在には、生涯、気づかずであっただろう。
まさに、「わかる」と「かわる」のだ。
からだの垂直中軸(正中)の丹田を重心だととらえている限り、鵞足とは縁がなかったことである。
左母趾球を重心点とし、その重心を支える軸が鵞足(点)で、この二点が左恥骨外側につながっていた。この恥骨についている筋肉が鵞足と密接に関与していたということ。それが大腿—坐骨結節—恥骨の“ホットライン”と連結している。
重心点の母趾球そのものも、進化の過程の中(退化も進化のプロセス)で、足底筋とアキレス腱と連結した存在だったようだ。
膝窩に存在する足底筋は、膝外側側に起始部があり、下腿の内側を通る腱が、踵骨隆起まで伸びている。
この鵞足と足底筋の存在は、あやしいかほりが、私のなかでただよっている。妙理なのだ。
足底筋の位置と鵞足の位置は、最大にしても3㎝のスキ間に存在しているようだ。非対称だな。
一週間、ありがとうございました。
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テーマは「上手い下手について」