東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

継続

ある捉え方を知ってから

自分の「下手」を

素直に見つめていくことに

興味をもてるようになった。

 

ある能楽師の名人が書き残した藝談のはなし。

 

生まれもっての「美声」や

若い頃から「器用にできすぎること」

に対して

「深く注意すべきこと」として

眼差しを向けている。

 

何故なら

器用な人はその生まれ持った器用さ

故に、「鍛錬」を重ねないから。

 

逆に、器用に出来ない人は

「何故出来ないのか」。

師匠を前にして

「正解」を教えてもらうことなく

鍛錬を繰り返し、出来るようになるから。

 

続けていくなかで

自分自身で、 感じ、考え、気付いていく。

ゆっくり時間をかけながら

「自得」のプロセスを歩んでいくから。

 

その結果、

前者と後者の数十年先の

藝の厚みというものを見たときに

どうしようもない差として

現れてきてしまう

という捉え方。

 

「生涯」をかけての

「藝道」の世界のはなし。

「うさぎとカメ」の童話から

「ゴール」という概念を

なくしてしまったような世界。

 

初めて知ったとき

愕然としてしまった。

でも、安心もした。 

   

自分の「下手」を

大いに愉しめばいい。

そうすれば

道中を歩み続けていくことができる。

ゴールはあるようでいて、ない。 

 

器用なうさぎも

不器用なカメも

歩み続ければいい。

 

 一週間のお付き合いありがとうございました。

明日からは

時をかける操体の吟遊詩人、友松実行委員の登場です。

お愉しみに。

 

2016年9月 新創生期操体法特別臨床講座 開講!