東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

四足動物の進化

 昨日の続きとして、二日目は 「四足動物の進化」 をテーマにした。

 

 水中から上がって四足歩行をし始めた頃の中間的存在ともいえるワニなどの両生類が進化して、地上だけに棲むトカゲのような爬虫類が生まれてきたものと思われる。 しかし、両生類のワニやトカゲなどの爬虫類の特徴は、四肢を体の外側へ張り出す形態をとっており、足で大地を踏ん張って歩く、いわばガニ股で歩いている。

 

 それが、同じ四足動物であっても、哺乳動物になると、四肢の付け根を回転させるようにして、胴体の下に引き込む形態に進化してきた。 ただし、前肢と後肢においては、回転方向が反対になるので、いわゆる肘と膝に見立てることができる部位は逆方向に屈曲するようになった。

 

 そうすることで、胴体の重心移動に対応しやすく、体を支えるための好都合な四肢のつくりになったのである。 構造的にいうと、四足哺乳動物の頭部は前方に突き出ているので、バランスの関係上、前肢の上に体の重心がくる。 そのため前肢はまっすぐに伸びた支点となり、後肢はというと、股関節と膝を最初から屈曲させて、運動性能を高めるために、瞬発力をためた状態を常に維持しているという格好になった。

 

 現在、地上で暮らす人類以外の多くの動物は、四足歩行形式をとっている。 地上では水中と違い、多分な重力がかかってくるのだが、その重力に対抗するための四足歩行というのは、ある意味で一つの完成された形態だといえる。 

 

 そんな四足歩行をする動物の頭部は前方に突き出す形態をとっている。 しかし、突き出した頭の重量は、筋肉を常に働かせてひっぱり挙げていなければならない。 そのために、四足歩行動物は突き出た頭部を持ち上げるための筋肉を、とてもよく発達させている。

 

 そのような四足歩行動物の頭部の構造は、頭蓋と頸椎をつなげるための大後頭孔という穴の位置が頭蓋骨の後方にあることだ。 頭蓋の後方に穴があるというのは、頸椎が頭蓋の後方から水平に延びていることになるが、これが最も重要な四足歩行動物の特徴である。

 

 頭蓋の後方に大後頭孔がある四足歩行動物に対して、二足歩行動物である人類は、この大後頭孔の穴が頭蓋骨の下方、底面にあいているのがその最大の違いである。 それは頭蓋から頸椎が垂直に下方に延びているということになる。 

 

 頭蓋から真下に垂直に頸椎が出ているというのは、その下に続く胸椎から腰椎へと人類のからだは垂直に立っている構造体であるということだ。 つまり、人類が二足歩行動物であるというのを論理的に言うとするなら、頭蓋の大後頭孔の穴の位置でそれが証明できるのである。

 

明日に続く

 

 

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