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東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

呼吸の真価

日下和夫(くさかかずお)

 最終日のシンカについても、また別の漢字に変換して呼吸の 「真価」 とした。

 

 呼吸というものの真価が本来どれだけの力と可能性を秘めているか、それを理解するには、人体の目に見えない側面を理解する必要がある。  

 

 西洋的学問は、生物におけるからだのしくみを厳密に物質的な観点、すなわち、唯物論的な方法で説明するやり方が過去300年もの間、支配してきた。 その結果、多様な利益が生み出されたことも事実ではあるが、そうした方法は、あらゆる生体の根元的な特徴については触れることを避けたまま現在に至っている。 

 

 アメーバ―やクジラや青虫、それに人間も、この地球上に生きるすべての生物に共通したある重要な特性が存在している。 生物の物理的形態であるからだというのは必ず、目に見えない波動からなる精髄が隅々まで浸透しており、それが生命エネルギーと呼ばれているものである。 

 

 この生命エネルギーは、「粒子」 であると同時に 「波動」 であり、粒子としては流れ、波動としては広がっていくという性質をもっている。 そんな生命エネルギーは、からだの内部で規則性をもって流れており、放射状の場としてからだ全身にひろがり、さらにまわりの環境へと広がっている。 

 

 生命エネルギーの性質や効果においては、電気や磁力や、重力、それに核力などに似てはいるが、そのどれにも該当しない。 しかし、科学的方法では捉えがたいが、生命エネルギーそのものを体験するのは意外と簡単なことのようである。 体験を重ねていくうちに、生命エネルギーこそが肉体と精神と魂の本質であり、人間が健全に統合された生を送るための必要不可欠な要素であることがわかってくる。

 

 人体の細胞ひとつひとつの内部には、物質をエネルギーに、エネルギーを物質に絶えず変換している双方向の精巧な変換プロセスがあり、それは目に見えない循環系によって各細胞に送られている。 

 

 呼吸は、この目に見えない循環系を動かしている生体メカニズムである。 人間が生命エネルギーを形あるものに変換するための主たる方法が呼吸であると言える。  それは呼吸をするたびに我々は原材料を集め、からだと心を形作っているのだ。

 

 呼吸による生命エネルギーの肉体化というのは、まず純粋に量的レベルで始まる。 

 呼吸の吸息で入ってくる空気は生命エネルギーに満ちており、質量になりつつある直接的なエネルギーをいちばん豊かに得ることができる源である。 吸息によって肺底にまで届く深い呼吸を続けることで、より多くのエネルギーを取り入れられ、からだと心の変容の可能性をより大きくすることができるのである。

 

 また、呼吸の質的な面においても大変重要であり、自分の呼吸をどれだけ意識するかによって、からだと心に現れるものの性格が異なってくる。 人間の存在にさまざまな側面で生命エネルギーが集結し、あるいは循環し、放射されるとき、それは常に呼吸を通して行われる。 

 

 ひとつひとつの呼吸の速さ、リズム、深さ、強さ、からだの状態、心の特徴など、これらすべてが、我々の生命の中でエネルギーがどう動き、どのような形をとるか、というような呼吸の真価を確実に左右しているのが意識的に行なう呼吸というものである。

 

 明日からは香実行委員が「シンカ」について、展開していきます。

 

 

2016年9月[新創生期操体法特別臨床講座](http://www.sotai-miura.com/?page_id=1018) 開講!