東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

感性とバルの戒め。

おはようございます。

 

天才的とか感性が豊かとか、何かの才能に秀でるセンスというのは、遺伝や脳の使い方、育て方によって決まってくると言われます。

だいたい60パーセントぐらいは遺伝子の影響を受け、40パーセントぐらいは生まれた時代や受けた教育を含めた育った環境要因による、と脳科学的には言われているようです。

 

音楽家のモーツァルトは、色々な意味で恵まれていたと言えるかもしれません。産湯に使ったときから父親や姉の奏でる音楽を耳にしながら育ち、3歳の時から父レオポルトから音楽理論や実技を徹底的に叩き込まれたといいます。

しかし、徹底的に叩き込まれたといっても、スパルタ教育みたいな束縛して無理やりやらせるとかではなかったようです。

どちらかといったら、5歳で小曲を作曲し8歳で交響曲を作曲したモーツァルトのよき理解者、讃美者だったといわれています。一緒にヨーロッパ中を旅する中でも、自分のやり方を押し付けるのではなく、出会った音楽家達の薫陶を受け才能を開花させていくモーツァルトを、嫉妬することなくその成長をよろこんでいたようです。

父レオポルトが演奏して、モーツァルトに体感させる事からはじまる、環境要因、空間づくりというのは、モーツァルトを天才たらしめる感性を育成させるものだったのだと思います。

 

やはり感性というのは、やらされて身につくものではなく、自分自身で体感して、からだをとおして愉しみを感じ、快の方向性に向くことから始まると思います。それがなければ、いくら遺伝子的に優れた才能を受け継いでいようとも、開花することなく埋もれてしまうと思うのです。

生きる上での環境要因は重要だと思いますが、それよりもその環境をどのように想うかの方が重要だと思います。人から羨ましがられる環境にあっても、欲張り心が強く、いつも不平不満ばかりでは感性は磨かれず、才能や環境要因に恵まれていても宝の持ち腐れでしょう。生きる前に生かされて生きている訳ですから。

 

操体にはバルの戒めというのがあります。これは「頑張るな」「威張るな」「欲張るな」「縛るな」という生かされて生きる上での戒めのことですが、往々にしてこれらの自分の我が、感じられるものを感じられなくしているし、受け取っていいよと差し出されているモノ(物ではなく)を受け取れなくしてしまっているのです。

私たちは空間をとおして、森羅万象とその創造力の源ともつながりをもっていますが、バルの戒めで表されるような自分の我というのは、そういうつながりとか御縁というものを、自ら断ち切るようにしてしまうのです。

感性というのは、生かされて生きる中で活きてくるものですから、バルの戒めというのは凄く重要であり、ゆめゆめ、努努、忘れ無きようにしたいものです。

 

2016年11月23日(水)勤労感謝の日

秋季東京操体フォーラム開催!

今季のテーマは「膝と進化した操体」です