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東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

プロ意識とプロ根性③

 これは聞いた話だが、あるときこんなことがあったという。 ある未開社会において一人の呪術師がいた。 呪術師は弟子たちに囲まれて呪術を行なっていた時のこと。 癒しの施術をしていた患者に水を飲ませるため、いちばん若い年少の弟子に井戸で水を汲んでくるように言いつけた。 なぜならその若い弟子は無意識に傍観していたからだった。

 

 呪術師はその弟子に陶器を渡して言った。 「気をつけるのだぞ この器はとても高価なものだ。 落とすなよ。 壊してはならないぞ」 そう言うといきなり、呪術師はその弟子の頬を二、三回平手打ちにした。 そして、「よし、行け

 

 その回りにいた弟子たちは我が眼を疑った。 一人の心やさしい年配の弟子が師に尋ねる。 「一体どういうことでしょう? あんまりじゃありませんか この子が何をしたっていうのです。 器はまだ落としていないのですよ。 まだ壊していなのですよ。 この子はまだ何もしていないというのに罰するとはどういうことですか?」

 

 この呪術師は答えた。 「いかにもその通りさ。 しかしあの子が落としてから罰したってどんな益がある?」 この呪術師が言っていることは、物事においては必ずしも結果が原因の後に来るとは限らないということだ。 病の内ではときには原因が結果の後を追いかけることだってある。 結果の方が原因より早く起こるのだと言う。 ときには未来が先に来てから過去がやって来ることもある。 必ずしも過去が先に来てその後に未来が来るとは限らないのだと。 

 

 呪術師は続ける・・・・・・「病とはみんなが考えるほど簡単なものではない。 それは困難だし複雑に込み入っている。 過去、未来、すべてが病の中で出会っている。 かって在ったものは、今も何らかの形で存在している。 それがどうやって消えてなくなることなどできようか?」

 

 さらに呪術師は続ける・・・・・・「かつて存在した病はすべてここに在る 今この瞬間の中に、病全体が・・・・・・、病の過去だけではない、人類の過去も包含されている あなた方の両親、またその両親、そのまた両親の両親、ついにはアダムとイヴ・・・・・・、すべてがあなた方の中に含まれている。 あなたの病の一部はアダムたちの内部に在ったもの、イヴたちの内部に在ったもの、そしてアダムとイヴらの全部の病が今あなたの内に在る。」 

 

 未開社会における呪術師においてもこのような病に対してのプロ意識をもっており、弟子らに誤解されても怯まないプロ根性をもち合わせていたのである。