東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

くいつく⑤・・・土壌。

おはようございます。

 

昨日、鯉について少し書きましたが、鯉というのは変温動物でもあります。

水温の低い冬場は冬眠状態となり、目に前に餌があっても喰いつきはしないそうです。

 

変温動物ゆえに水温が下がる環境となれば、体温も下がり、消化酵素も分泌出来なくなっていき、生理活動が中断された状態となり、冬眠へと向かうようです。

逆に水温が上がる環境となれば、体温も上がる。水温が上がれば、まわりには様々な餌も増え、消化酵素も活発になる。そして生命活動も活発化していく。

変温動物ゆえに、自然環境に合わせて生き、そして生かされている、という感じがします。

 

一方、私たち人間は恒温動物です。恒温動物は変温動物から進化した存在と考えられています。

気温が低くなっても、高くなっても常に一定の体温を保てています。大体37~40度のあいだの体温を維持しており、これくらいが酵素活性もよく、リズムもとりやすいと言われています。

この常に安定した体温の元で、高い水準の活動能力が維持できているという。本能的活動以外にも、言葉を用いた知的な活動が出来、文化、文明を発展させてきた事も無関係ではないでしょう。

しかし、自ら一定の体温を保てる能力を身につけたこと、加えて居住空間もスイッチ一つで温度調節できるようになったことで、自然環境への適応という事が忘れられているようなのも事実です。

 

食性についても、昔は身土不二という考え方がありました。酵素活性の面からみても、理に適っていると思います。しかし、今は環境という事を抜きにして、カロリーやその食品に含まれる栄養素ばかりが注目されがちです。

そして、それを食べれば、その栄養がそのまま、からだの栄養になるという考え方をする人が、とかく多い。

しかし、○○を食べれば○○に良いと考え、食いついても、それをキチンと消化、吸収する土壌が出来ているか、というとそうでない場合が多い。

その土壌つくりは、自然環境にどう調和するかにかかってきます。
そして、それは呼吸を自然環境により良く適応できるように、変えていく事でも可能ですし、日常動作を自然環境に適応したからだの動きに、変えていく事でも可能です。

 

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