東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

操体における 「頑張るな」 とは ⑤「脱力」

 頑張ることでからだの一部の筋肉のみが暴走して、全身の関節や筋肉の動き、腕、腰、脚の協調性が乱れてくる。 すると、からだの重心移動や背筋のバランス、足底と地面の接地感覚などが崩れてしまい、まさに地に足が着かない状態になる。

 

 だからといって脱力すればいいというものでもない。 ただ無節制に脱力することは、決して健康的だとは言えない。 そこで操体では、力みではなく、脱力でもない、ほどよく調和した快適な状態を維持することを目的としている。 だから 「頑張るな」 という言葉を用いて戒めとしているのである。

 

 今、世間では 「脱力」 が主流になっている。 これは根性主義や精神至上主義といった時代の反動から来る頑張ることへの反抗なのかも知れない。 昨今の健康療法においてもやたらと 「脱力」 が強調されている。 しかし、脱力やリラクゼーションは、力んで緊張している人を一時的に癒すことはできるが、免疫力等を高めることは決してない。 すなわち、楽にはなっても自然で快適な状態ではないということである。 まさに操体でいう楽と快の違いはここにある。