東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

日下和夫(くさかかずお)

操体における 「頑張るな」 とは ③「根性主義」

昭和の時代にNHKの朝ドラで 「おしん」 というのをやっていた。 このドラマは、歯を食いしばって堪え忍ぶことを美化したストーリーであるが、この時代は中学、高校のスポーツ系の部活においても、死に物狂いでやれとか、頑張り通せといった 「根性主義」 が…

操体における 「頑張るな」 とは ②「スポーツ」

頑張ることを余儀なくしているのは、一体どのような人だろうか? はじめに思いつくのが西洋から入ってきたスポーツをする人達だ。 それはオリンピックをはじめとする競争性・競技性を重視したからだの動きのことである。 具体的にいうと、ある特定の筋肉を発…

操体における 「頑張るな」 とは ➀「日常動作」

今回のタイトルは操体では馴染の深い 「頑張るな」 とは です。 操体で 「頑張るな」 とは、自分に対して心身に歯を食いしばるような無理な負荷、すなわちストレスをかけるようなことをするな! というからだからのメッセージであると私は受け止めている。 …

操体を初心者に説明する⑦ 「渦状波」

操体には 「渦状波」 という皮膚へアプローチする操法がある。 これは操体操法の手法の一つであり、患者に軽く触れるだけでからだのヒーリングプロセスを大きく加速することができる。 そっと軽く触れるだけで痛みや炎症も軽減し、筋骨格系が整えられていく…

操体を初心者に説明する⑥ 「動診と表現」

操体では、「からだの感覚をききわける」 ということをすでに述べたが、患者自身が治療者であるなら、その感覚診断も患者自身でしなければならない。 疾患を持ったからだは、横紋筋系に収縮異常があると述べたが、そういったボディの歪みは視診や触診という…

操体を初心者に説明する⑤ 「快適感覚と自力自療」

操体の臨床における操者は、呼吸と意識のテクニックを学んで両手の波動を非常に高い周波数に高めている。 そして患者のある部位に触れると、まるで同調した回路のように患者のからだが操者の手に共鳴して同期化していくことになる。 これは快適感覚を誘導す…

操体を初心者に説明する④ 「患者と施術者」

操体では施術者と患者の関係を明確にしておく必要があるとしている。 まず、治療者は誰なのか、ということを最初に理解しておかなければならない。 これは極めて重要なことであり、しっかりと区別することがその前提条件である。 そういった操体における治療…

操体を初心者に説明する③ 「からだの声をきく」

からだの感覚に意識を向けるというのは、英語ではアウェアネス(awareness)と言うが、他にも 「自覚する、知覚する、気づく」 という意味もある。 操体ではまた 「からだの声をきく」 という言い方もするが、これは精神と肉体が一つになったそのからだの声…

操体を初心者に説明する② 「からだの感覚」

特に初心者が操体を学ぶ場合、 いきなり 「操体法」 ではなく、 「操体」 とは何か、を最初に知ることが求められる。 操体の理論は 「快適感覚につきる」 ということを論理的に知ることは勿論、さらにそれを、身をもって体験し、理解する必要がある。 それに…

操体を初心者に説明する➀ 「操体を説明するということは」

今回のタイトルは 「操体を初心者に説明する」 です。 1週間にわたってお届けします。 人に何かを説明するというのは意外と気を使うものである。 なぜなら、物事を正確に伝えることができたのかどうかということが重要であるからだ。 我々が何かの説明を受…

呼吸

つづき これまで 「肚」 と 「性」 という 「死の中枢」 と 「生の中枢」 について述べてきたが、これは施術において重要なポイントである。 またこの二つは連動する関係にある。 そして双方に寄与しているのが呼吸であり、その呼吸に意識を持たせることで、…

エクスタシー

つづき 本当の性的な体験というのは、またひとつの死の体験でもある。 性のセンターが脈打ち、その波動をからだ一面に広げるとき、死の中枢もまた脈打ちはじめる。 すると、その恐怖ゆえ性行為の中でオーガズムに達するのは難しくなる。 オーガズムというの…

生の中枢

つづき 日本の武士が、何故、切腹などというようなことをする必要があったのか、誰ひとりとして理解できないほど、実に単純な物事のために自殺をする。 しかし、武士は生と死は別々なものではなく、その生と死は二つではなくて一つなのだということを知って…

腹式呼吸

つづき からだの中にあるその 「肚」 は物理的には存在しない。 それは一つの不在、それは一つの 「無」 なのだ。 そして、武士道の修行のすべては、その 「肚」 に注意を向けることにある。 武士はそのためにある呼吸法を編みだしている。 その呼吸を続けて…

武士の切腹

つづき からだの中のブラックホール、それはちょうど 「へそ」 のすぐ左下にあった。 その場所には、「死の重要な個所」 が存在しており、それはとても微妙な 「要点」 である。 日本の武士の 「切腹」 という言葉の語源はこの 「肚」 から来ている。 インド…

死の所在

つづき 我々日本人の先達は、からだのどこかに 「死」 というものがそのホームグランドを持っているに違いないという、そういった思いからその場所を探していた。 そして、見つけることができた。 「死」 というのは、どこか外側からやって来るものではない…

操体を最初に知ったのは初期の操体法、つまり 「緊張」 と 「脱力」 という手法が操体との出会いだった。 これは私にとって特別なものではなかった、既に似たような療法は世に存在していたからである。 世界各国の古今東西におけるボディワークは無数にあり…

呼吸エクササイズにくいつく③

知識を持たずに故障した機械をいじるより、それに干渉せず、悪い状態のままにしておいた方が何倍も望ましい。 これと同じように人体組織は非常に複雑にできていて、異なるリズムと異なる必要性を持つ多くの器官を内蔵し、しかもこれらの器官は相互に関連して…

呼吸エクササイズにくいつく②

一般に行なわれているような人為的な呼吸制御を行なうと、からだは不調和を起こすと、昨日述べた。 従って、人為的な呼吸がもたらすかも知れない弊害を避けるには、他の食物を相応に変えなければならない。 そうするには、完全な知識があってのみ可能である…

呼吸エクササイズにくいつく➀

五日目からは、「労働にくいつく」 から 「呼吸エクササイズにくいつく」 に変わる。 私のまわりには○○ブレスセラピーなどという、呼吸エクササイズで夢中になっている人がたくさんいる。 しかし、そのような方法で呼吸を損なった人に、私はくいついた。 そ…

労働にくいつく④

人間の労働の本質は、「運動」 と 「感情」、そして 「思考」 の三つの中枢部がともに働くことにある。 この三つがそろって働き、行為を生みだすことができる。 すなわち、真理にくいつくことができる三つの脳を持った動物の労働である。 これが人間の労働と…

労働にくいつく③

「労働している中で、我々の誰一人として人間らしく働いていない」 と、すでに述べた。 これから言えることは、我々は今までとは違う別の働き方をすることが絶対に必要である。 誰もが自分自身で働かなければならない。 他人は自分に何もすることができない…

労働にくいつく②

「くいつく」 というのは、自分の身を生かすために働くことであると、昨日述べた。 そして、働くという労働は自分の可能性の限界まで動くことで、初めて価値を生じるのである。 通常、人間の労働には、「感情」 と 「思考」 が参加していなければならない。 …

労働にくいつく➀

テーマは 「くいつく」。 私の初日のタイトルは 「労働にくいつく」 から始めたい。 「くいつく」 というからには、自分にとって、きっと何か必要なものであるに違いない! そして、くいつくにはその動きが伴ってくる。 それが肉体的、もしくは心理的な行為…

正義⑦

昨日のつづき 最終日は、昨日に引き続いて、正義に関して最も核心部分である真と偽について述べてみる。 生における真と偽の相関関係を理解するためには、自己の内の虚偽を、また絶えず自分につき続けている嘘を理解しなければならない。 これらの嘘は自己の…

正義⑥

昨日のつづき 正義に関して、人々が自分のものだと思っている多くの特質があるが、それらは現実には、発展と進化において低い下層の人間より高次の段階にある人たちにしか属することはできない。 個体性、単一で恒久的な 「私」、意識、意志、為す能力、内的…

正義⑤

昨日のつづき 正義は、倫理道徳という善悪についての恒久的な観念により、恒久的な目標と恒久的な理解との関連においてのみ形成することができる。 もし自分が眠っていることを悟り、目覚めたいと望むなら、そのとき自己の覚醒を助けるものはすべて善であり…

正義④

昨日のつづき 一般に正義は道徳的な正しさであるというが、道徳という観念は良い行い、悪い行いという観念に結びついている。 しかし、善悪の観念は人によって常に異なり、自己の内に緩衝システムをもつ者においては常に主観的で、しかもある時点あるいは状…

正義③

昨日のつづき 宗教的な人々は正義や道徳について話すのが大好きだ! しかし道徳は自己暗示にすぎない。 本当に必要なのは道徳ではなく良心である。 賢い人は子どもたちに道徳などは教えない。 いかにして良心を見つけるかを教えるのである。 こう言うと人々…

正義②

昨日のつづき 「正義」 の概念としての 「良心」 の象徴は 「火」 である。 比喩的にいうとガラスの蒸留器の中の粉末をすべて融合させることのできる唯一の火である。 また、正義論というような自己探求を始める時点では欠けている統一を生みだす火なのであ…