東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

東京操体フォーラム in 京都(7) 番外編 玉造温泉編

車で宍道湖沿いを暫く走って、松江総合医療専門学校に到着した。今回、私達の他にもモーション・キャプチャの機械を使って、様々な動きのデータを摂ろうという方々が4組ほど集まっていた。今年の3月位から福田画伯と松江で活動している手技療法家、理学療法士の方々が企画を練ってくれていた。今回は「般若身経」を、自然法則に則ったもの、自然法則に背反したものを比べようという狙いがある。また、男女両方のデータが欲しいということで、三浦先生と私がモデルとなることになった。この機械は、周囲にカメラを何台か置いてある。からだの何箇所かに、カメラが捉えやすいマーカーをつけ、それで動きをカメラが捉え、コンピューターで三次元解析するというものだ。なお、この撮影、マーカーをつける関係で、ぴっちりした服装で撮ることになっていた。三浦先生はスイムウェア、私はハーフトップという格好で臨んだ。三浦先生はばっちり撮られていたが、私は流石に遠慮していただいた。実は三浦先生の写真もあるのだが、掲載はやめておく事にする。
私達の収録は最初に終わった。その後、スキーのストックを持って歩くウォーキングや、腰掛けた姿勢から立ち上がる時の筋肉の様子など、色々な動作が収録された。話を聞くと、収録よりも、むしろその後のデータ解析のほうに時間がかかるらしい。データの完成が楽しみだ。般若身経がこのような形で残るのは、これからの操体の普及においても必須事項である。
参加者の一人で、福田画伯とこの企画を進めてくれた方の中に、小泉八雲の子孫とご縁が深い方がおられ、話をさせていただいた。
学生時代、早稻田から池田雅之先生(現在早稲田大学社会科学部教授・大学院社会科学研究科教授)が講師として来られており、私は小泉八雲の講義を受けていた。奇遇にも池田先生は荒木兄さんが運営に参加していた「猿田彦フォーラム」にも出席されており、荒木兄さんともお知り合いとのことで、これも不思議なご縁である。3年前松江を訪れた際には、小泉八雲宅も訪れている。

収録を終え、今回の旅行の「お仕事」の部分が終わった。今日これからは「ご褒美」の時間だ。一行は車に乗り込んで目的地へ向かった。途中でお菓子やら果物を買い込み、目指すは「玉造温泉」である。玉造温泉出雲風土記にもその効能が書かれているくらい歴史が古い温泉だ。玉造温泉公式サイト

「ひとたび濯げば形容端正しく、再び浴すれば万の病ことごとに除こる」

[訳]一度洗えばお肌もしっとりすべすべ、二度入ればどんな病気や怪我も治ってしまう。その効能が効かなかったという話は聞いたことがないので、世の人々は「神の湯」と呼んでいるのである。

その玉造温泉の「長楽園」に宿を取っている。ここは江戸時代から続く老舗で、120坪の広大な露天風呂と日本庭園が自慢なのだそうだ。チェックインを済ませて部屋に通されたが『広い・・・』部屋が二間続きになっている。泊まろうと思えば8名位は十分泊まれそうだ。仲居さんがお茶を淹れてくれたので、松江の美味しい和菓子を頂きながら一休みする。ガイドをみると、ここは全部源泉掛け流しで、混浴じゃない露天風呂と、混浴の露天風呂があるらしい。
念のため断っておくが、女性用にはちゃんと身体に巻き付ける透けない(笑)布が用意されている。福田画伯によると、おばちゃんの軍団はワザと混浴露天風呂で布を巻かずに入ってきて、若い男性が入ってくるとハダカのまま近寄ってくるらしい・・・。
どちらに入ろうかと考えたが、まだ日が高い。この状態で露天風呂に入ったら真夏のプール並に日焼けしてしまう。ということで、最初は『混浴じゃない露天風呂』に入ることにした。
まだ3時過ぎだったので、人は誰もおらず、貸し切り状態で屋内の温泉を楽しみ、露天風呂風呂にも入った。勿論お約束でちょっと泳いでみたりする。温泉を一人で貸し切るというのは本当に気分がいい。

さっぱりしてから部屋に戻り、雑談をしていると夕食時間の6時となった。食事処に向かう。今回の旅の中で唯一「夕食朝食つき温泉旅行」である。瓶ビールを頼み、先ずは乾杯する。今回の旅では暑かったせいもあるのか、三浦先生もよくビールを飲まれていた(といっても最初の一口が美味しいんだそうで)。この時は「にごり酒」を注文(先生はにごり酒が結構お好きらしい)。

夕食後、旅館の周りをうろうろしてから、暗くなった日本庭園を散策する。休憩所になっている庵があったり、洞窟があったりしてなかなか凝っている。しばらく夕涼みをしてから部屋に戻って、今度は混浴露天風呂である。仲居さんも「混浴露天風呂では男性はタオルをお使い下さい」いた。女性は巻布、男性はタオルってことだ。
混浴露天風呂は男女の入り口が離れている。中で巻布を選んでからだに巻き付けて露天風呂を目指す。途中屋内風呂があったので、試しにお湯をかけてみる。巻布がお湯を吸って重くなり、からだに張り付く感じである。そこから露天風呂にそろそろ入っていくと、反対側の高い所に、男性の露天風呂入り口が見えた。女性用は入り口が隠れているのだが、男性用は脱衣所までオープンである。はるか彼方で素っ裸のオヤジが何名かからだを拭いている。この露天風呂は日本一の広さだそうだが、確かに広い。普通のプールよりも大きいのではないだろうか。露天風呂を円に例えると、半円に区切られていて、半分は「男性エリア」「半分は女性エリア」となっているようで、何だかお互いにそのエリアには侵入しないような無言の気遣い?があるような気がした。これを破るのが、おばちゃんの軍団なのだろう。境界線というものを無視しているのだ。
うちの3名の男性陣はと言えば、タオルを巻かずに(爆)へそ下辺りの微妙なライン(爆)でお湯に浸かりながら露天風呂の中を歩いていった。
三浦先生が「やっほ〜」と言いながら15メートル位先の源泉に向かって歩いている。どうやら、備え付けのタオルは「腰に巻く長さ」はなかったようである。
夜は雑談で盛り上がる。確かこの日は『入れ墨』の話で盛り上がったような気がする。その後ばったり就寝。

起床して朝食前に朝湯に行く支度をしていると、三浦先生も行くというのでご一緒する。昨夜は暗くて見えなかったのだが、源泉が出ているところが龍の口になっている。朝の光の中で露天風呂を見渡すと、本当に広い露天風呂だ。源泉は80℃近いそうで湯煙がもうもうと上がっている。今度はもっと大人数で来たいなと思う。途中山本監督も入って来た。のぼせそうなので、風呂から上がって部屋に戻って朝食へ。
昨日の夕食も豪華だったが、朝食もなかなか豪華である。

チェックアウトして、「いずもまがたまの里 工芸館」へ行く。ここは玉造温泉の観光センターみたいなもので、曲玉体験制作とかもできるらしい。こちらで可愛いウサギグッズを購入。画伯に実はラブリーなキャラ好きがうっすらバレていた。

その次は須佐神社へ。ここはスピリチュアル系某E氏がテレビでパワースポットととして紹介したため、観光客が多く訪れ、ご神木が何だか元気がないという。以前は数メートル先からでもその神々しいパワーが感じられたらしいが、今は観光客が根本を踏まないように、柵で囲ってある。ご神木の根元が踏み固められているのが痛々しい。こういうスポットはそっとしておいて欲しい。

須佐神社の高床式の本殿。見事なものだ。

更にそこから車で5分程山を登ると「八雲風穴」に到着した。ここは空気が山の中を通って冷えたものが吹き出している天然のクーラーのようなものだ。
穴といっても小さいプールのようなものを想像していただければいい。その穴の中は冷えた空気が少しづつ吹き出しているのである。暑い中を歩いてきたので、少し座って涼むが、長いこと座っていると夏でも冷え切ってしまいそうだ。世の中には不思議な場所があるものだ。

風穴を後にして出雲大社へ向かうが、その途中福田画伯の家へ寄る。ご両親はお留守だった。お猫様の小太郎君はどこかに隠れていたのだが、我々の気配を察知したのかどこからら現れた。本当はとても人見知りが激しい小太郎君だが、三浦先生に無理矢理だっこされ、10秒ほど大人しくしていた。しかしからだをくねらせると、三浦先生の腕からするりと抜けてまたどこかへ去っていった。

この辺りで暑さは頂点に達していた。

その暑さの中、出雲大社近辺へ。今回は参拝が目的ではなく『出雲蕎麦』が目的である。出雲蕎麦と普通の蕎麦の大きな違いは「つゆ」だ。普通は器に蕎麦つゆを入れて、蕎麦をつけて食べるが、出雲蕎麦は割子(丸い器に入っている)につゆをかけて食べる。普通の蕎麦つゆはとっくりのようなものに入って出てくるが、出雲蕎麦は直接つゆをかけるため、つゆを入れる器は、土瓶のように口が細くなっているのが特徴だ。私は三色割子、他のメンバーは5段の割子を頼んだ。

昼食後は島根ワイナリーへ向かった。島根県はぶどうを作るのに適しているらしく、ワインの産地でもある。甘めの軽い赤ワインや、やはり甘めの白ワインが多い。ここではワインの試飲とお土産購入が主な目的である。9月1日ということで閑散としていたが、ここで買い物を済ませる。
この辺りになってくると、気温の高さと長い旅の疲れも出てきて、ちょっとお疲れの一行であった。そこからもう少し車を走らせ、海辺の道の駅へ。日本海を臨む(もしかしたら、海じゃなくて宍道湖かもしれない)。風力発電の風車が見えた。写真のとおりもの凄く青い空だ。

疲れが最高潮に達した一行は、近くの日帰り温泉に入って飛行機の時間まで昼寝することに。日本三大美人の湯と言われているのが、松ノ湯温泉(群馬県), 龍神温泉和歌山県), 湯の川温泉島根県)だが、この湯の川温泉である。ちなみにこの美人の湯に共通しているのが、アルカリ泉だということらしい。

ここはひかわ美人の湯(斐川フレッシュパーク 出雲いりすの丘 内)というところ。内湯よりも露天風呂のほうが広い。ここで一息ついて、二階の休憩所にあがると、他の3名は畳の上でゴロ寝していた。私は足の裏を揉む機械にコインをいれて、暫く足裏をマッサージしていた。この辺まで来ると『早く東京に帰りたい・・・』と思うことしきりである。三浦先生と私は出雲空港から、山本監督は出雲市駅からまた揺れる振り子列車「やくも」で岡山まで行き、新幹線で大阪に戻る予定である。

そして暫く休んでから出雲空港に向かった。飛行機は最終の19時で、東京には20時20分頃到着予定だ。空港で荷物を預け、セキュリティチェックを受けていると、三浦先生が手招きして呼んでいる。私のJMB(JALマイレージバンク)カードはICカードにしてあるので、そのままチェックインできるのだが、三浦先生のカードはICチップが入っていないので、ボーディングパスに交換しなければならない。私は階段を駆け下りてパスを発行してもらってまた階段を駆け上っていった。丁度出発10分前だった(汗)。

出雲空港を定刻に飛び立ったのは覚えている。次に目が覚めたのは羽田に着陸した時だった。どうやら離陸後は爆睡していたらしい。

こうして六日間にわたる京都フォーラムの旅は終わった。六日間というのは結構長い旅だと思う。実はこれを書いている現時点で、マドリッド行きの支度をしている最中である。

一週間、番外編としてレポートを書かせて頂いた。記憶の鮮やかなうちに記録しておいてよかったと思う。実行委員のメンバーとは、是非一緒に玉造温泉の長楽園で混浴露天風呂に入りたいものである。

畠山裕美


9月18、19日スペイン、マドリードにて「操体フォーラム in マドリード」開催
2010年操体法東京研究会定例講習は9月から始まります。
11月20、21日千駄ヶ谷津田ホールにて2010年秋季東京操体フォーラムが開催されます。