東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

お犬様とお猫様

「快適感覚」とはまさに「原始感覚」のことですが、原始感覚の申し子と言えば動物諸氏です。我々の身近に居るところで言えばワンちゃんお猫様が代表選手だと思います。
皆さんはどちらがお好きでしょうか?個々に好みはあるでしょうが、操体に興味がある方ならばお勧めは断然、「お猫様」です。何でっ?て言われても自分が共に暮らしているからと言ってしまえばそれまでですが、ワンちゃんに比べ、お猫様がより自分の感覚に忠実に生きているからでしょうか。
私的エゴと偏見で見ると、犬的生き方とは「楽」に近く、猫的生き方には「快」を感じてしまうのです(ご・・強引っすか?)。

これには先ず、お猫様とお犬様のルーツから探っていかねばと思います。
有名な話しなのでご存じだとは思いますが、元々、お犬様とお猫様のルーツは同じだったようです。ご先祖様のお名前はミアキス (Miacis) と称され、暁新世から始新世中期にかけての約6,500万前〜4,800万年前に生息した小型捕食者でした。
元々、森林に単独で暮らし、姿はイタチに似ており夜行性で、大きさはネコより一回り小さい動物だったようです。そして、ネズミや小鳥、昆虫などの小動物を獲物としていたそうです。
このルーツを同じくするミアキスが何故、お猫様とお犬様とに別れたのかと言えば、諸説あるようですが、元々森林に住んでいたミアキスが二派に別れたようです。一派は森林より見通しが良い平原に降りて行き、もう一派はそのまま住み慣れた森林に残って生き残る方法を選択しました。
この選択こそが、お犬様とお猫様の二派を作る切っ掛けとなったのです。
平原に降りていった一派は獲物を捕まえるために速く走ることを要求され、脚力がより発達し、更に効率よく獲物を獲得するために集団戦での方法を考え出しました。これが、お犬様一派となって行くのです。お犬様が群れで行動する習性はここにあるのです。

一方、我々猫派は身を隠すことに困らない森林に住んでいますので、集団で狩りをする必要も無く、自然群れない単独行動へとなっていきました。その代わり、瞬発力を必要とされる筋肉と鋭い聴力、縦長の瞳孔による微妙な光の調節により夜目が効くなど、単独で狩りをするのに必要な要素が満載となりました。

それと、集団行動を選択したお犬様達は必然的に命令系統を明確にするために、群れの中で序列を形成していきました。トップにBOSSが居て、最下位までキッチリと序列が決まっていて、狩りも全てその命令系統により行っていました。このことが、後に人間と共に住む様になった時にも発揮され、自分の序列をヒトとの中でも付けるので、自分より序列が低いと思う家族に対しては噛んだり、吠えたりする一面も持っています。だからこそ、群れ以外の動物が近づくと威嚇といった攻撃性も発揮するのです。これが番犬に向いている理由です。この平地に降りたお犬様が更に進化を遂げたのが、オオカミになって行きました。この様にお犬様は進化しながら、人間の用途によって、牧羊犬、猟犬、盲導犬など、多種多様に変化しました。

一方の我々お猫様は古代エジプトの頃にネズミに穀物を食べられない様にと、家猫として人間と一緒に生活をする様になりました。ですが、根がそれ以上のことが出来ないので、犬の様に特に変化することも無く、良い意味で野生の部分を残したままで現在に至ってます。

お猫様の「原始感覚」がお犬様に比べて残っているのは、こういう進化の理由によるものだったんですねぇ。だからこそ、一番身近で見られる「原始感覚の伝道師」なのですねぇ・・・

人間の顔色を伺い、多数の言語も理解出来るお犬様。方や人の呼びかけは一切無視、気分が良い時だけは擦り寄ってくるお猫様♪叱られるとシュンとして本当に反省しているお犬様。方や叱ると逆ギレして引っ掻いたり、時には噛みついたりもするお猫様♪臭いはきついけど、水は大スキお風呂も入るよお犬様。方や臭いもしない、毛繕いで常に身だしなみを気にする、けど水はとんでもないよ!お猫様♪
犬と一緒に住んでいる年齢層(特に室内犬)は様々ですが、可愛くて自分の言うことを素直に聞いてくれることが、お犬様選択の条件みたいです。お犬様と飼い主の関係はあくまでも、言うことを聞く、そして甘えてくれるのが絶対条件なのです。
お犬様の本音は聞けないですが、彼等は人に依存して貰うことを“快”と感じる脳に進化の過程でなってしまったのだと思います。ですから、お犬様の飼い主との相互関係は従順なお犬様あっての、お互いの「依存関係」であると言えます。多分、呼んでも来ないお犬様だったり、待てをせずにガツガツ食べるお犬様だったら、状況は違っていたと思います。お互いが気分的に「楽」な関係だと言えます。

逆に我々猫派から言わせると、依存から生まれてくるのは飼い主ペットの関係であり、対等では無い関係なのです。お猫様だって、フードを与えたりするので、同じじゃないか!と言われそうですが、違うんです!根本的に!ご飯を食べて戴いて、私なんざ振り向いて欲しいのです!一度でも良いから、「オッサンありがとね!」ってうちの小太郎に心から言って欲しいのです!まぁ、絶対あり得ないですけど。要求する時だけは散々うるさく泣いて、食べ終わると礼も言わず、愛想も無く、去って行きます。むしろ、当たり前だろう位の勢いです。
これが、寧ろ不快で無く、良いのです。このお互いがCOOLな関係こそ、依存しない、つかず離れず、甘えず、どちらが上か分からない関係(明らかに私が飼われている感じ)。これこそが、お猫様と一緒に生活をするという醍醐味なのです。お猫様と過ごす究極の“快”とは互いを干渉しない関係、けど何となくいつも傍に居て気を使わない、空気の様な存在でしょうか。この時期になると猫まんじゅうになって寝ている姿はホントに心から癒されます。どんなに嫌なことがあっても肉球をプニプニして臭いを嗅ぐだけで、幸せな気分になります。見ているだけで人を癒すことが出来るなんて、やっぱり凄い・・お猫様。。あぁ快の伝道師・・・