東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

操体庵ゆかいや物語(11)

昨日のカラス話に続いて、、、、もう一度カラスの小話。


              小話
                          

もう20年も前の話です。


霧に覆われた記憶が、笑い声と共に徐々に浮かび上がってきました。
我々は、丸いおおきな鉄板焼きを前にビールを酌み交わし、イルカのステーキを焼いています。イルカは白身(しろみ)のマグロ。
分厚いステーキは、ジュー、ジューと音を立て、勢いよく煙りが立っています。


「昔は、イルカなんぞ、しょっちゅう喰ってたよ。」


日焼けした白シャツの男性は50才前後。海が見える窓は開けっ放しで、すっかり日は落ちています。裸電球が心地よい夏の夜。


しかし、私はその男性の名前を覚えていません。顔もぼやけています。そして男性と私以外に誰がいたのか?それすら、覚えていません。


イルカがあっさりとしたマグロ味で絶品だったことは、間違いありませんが、それ以外は霧の中。
ところが、そんなときの会話は、霧の上に強烈なイメージを描き出し、記憶として留めるものです。


私が、『喋るカラスの話』をすると、その男性は、ニコニコしながら、


「俺もカラス飼っててね〜。しかも、犬と一緒に。それが、毎日だよ、毎日。
同じ事をするんだよ。


洗面器にメシ入れるだろ?これをカラスと犬が一緒に喰うんだけど、、、、、、
まず、犬が先にくるだろ?そして、喰ってるだろ。


そこへ、カラスが後ろからピョンピョンとやってきて、犬の後ろ足を、
つっつく訳よ。
そしたらさあ〜、怒った犬は、『この野郎!』とばかり、カラスの方をふり向く。そこでカラスは、低空飛行で逃げる訳よ!


スーッと犬の目線で飛ぶから、犬は必死で追いかける。で、ある程度まで行くと、突然カラスはUターン。犬はというと、勢いが止まらないからそのまま、走りっぱなし!


カラスは余裕でメシを喰うって訳。
戻ってきた犬は、カラスを追い払ってメシを喰うはいいけど、また、カラスに同じことをされるってえパターン。


これを、毎日、毎日繰り返すんだから、犬ってえ、バカだよ。というか、カラスはホントに利口だな。」


男性の見事な喋りのお陰で、カラスと犬のやり取りが、鮮明なイメージとして焼き付きました。


大笑いをしながら、私も負けじと、カラスの話をはじめます。


「そういや、ラジオでこんな話を聞きました。
その番組では、『カラスは遊ぶ』というテーマで、リスナーからの便りを紹介するんですよ。


それで、こんなのがありました。
電線に数羽のカラスが止まって、鉄棒の『大車輪』をするって言うんです。
しっかりと足で電線をつかんで、羽をわずかに広げ前転。
すると見事な『大車輪』になるそうなんです。
これを見ていた他のカラスも『大車輪』。
なんか、想像するだけで楽しいでしょ。


それから、雪のスロープでは、カーカーとうれしそうに、羽を広げてスキーをするそうなんです。


嘘みたい、、、だけど、カラスならやりそうですよね。」


仙台の温古堂でも、火鉢を囲んで、橋本敬三先生がカラスにまつわるこんな話をされていたのでしょうか、、、、、、、、

   
霧の彼方から呼び起こしたカラスの小話、おそまつでした。



佐伯 惟弘




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