東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

世界に誇る日本の浮世絵

江戸時代の日本は鎖国をしていた関係上、一部の国を除いては国同士の交流が殆ど無く、日本独自の様々な文化を昇華させて来ました。
特に芸術面で目覚ましいモノがあり、その中でも私が個人的に好きなのが『浮世絵』です。
基本、版画は大量生産なので、今で言うと東スポ的ポジションだったり、“るるぶ”だったりと、非常に多岐、多種にわたり版元により創られていました。
今回はその浮世絵の側面でもある春画について語ってみたいと思います。春画に関しては以前のブログでも話したことがあるのですが、元々は中国に起源があるようで、漢の時代とも殷の時代とも言われているようで、日本には平安時代の頃に中国から渡来してきたようです。
当時は偃息図(おそくず)と言って、医術のための説明図だったようです。それが日本でアレンジされて戦国時代には何故か、魔除けとしても使われたようです。
本格的に春画が広まっていったのはやはり、江戸期に入ってからのようです。代表的作者としては浮世絵の始祖としても知られている、菱川師宣(ひしかわものろぶ)であり、その他にも喜多川歌麿、歌川豊国、葛飾北斎などなど、メジャー処の絵師達の殆どが春画を手掛けているのです。
 では春画の使い道なのですが、色々とありますが、主には・・・

  1. 夫婦、恋人間でより高い性の快を追求したり、未体験の体位に挑戦するテキストとして用いた
  2. 性教育や自慰行為の補助
  3. 大名・旗本の息女達の嫁入り前の性教育教科書、嫁入り道具

などなどと利用法は色々あったようです。現代で言われる、ややアブノーマルチックなプレイの絵も、しっかりとあって、『男一人の女性二人の3P』や逆の『男性二人の女性一人』パターンとか、肛交プレイや獣姦・屍姦などなど、おおよそブログでは言えない物も含め、多種な春画が存在し、江戸の人々は『快』に対して非常に大らかに楽しんでいたのが絵からは伝わってきます。

特にの役割は大きく、前回のブログにも書いたのですが、戦国期の大名家の婦女子は、某国営放送(しつこいっすか?)で、のだめが演じてるような温い婦女子など存在していないのです!
しっかりと自分のお家の立場や、自分の立場も踏まえた上で、嫁ぎ先の旦那様を自家に有利なようにコントロール出来るよう、鍛えた極上テクニックでメロメロにしたとも言われています。とかく今のテレビの脚本と言えば、女性は政争の具にされて悲劇的だった、みたいな描き方しかされませんが、当時の女性はそんなヤワな存在では無く、しっかりとした野望と目的を持った『超ポジティヴ・シンキング』肉食系女子だったように思います。
現代の感覚で時代を語るな!の法則はここでも生きているのですねぇ・・・
春画って何?って方は是非、一度ご覧頂けたらと思います。Webでググっても発見出来ますし、本も多数、発売されていますので捜して見るのも面白いと思います。その時代一流の絵師達が描いているだけあって、洒落っ気があって、エロティックでクスッと笑えること請け合いです。浮世絵だけあって、畠山先生も書かれていましたが、パーツがかなり誇張して書いてありますが、妙にリアルで毛の一本一本まで、版画でこんなに詳細に表現出来るんだと、絵師と彫り師の技術に改めて驚嘆します。
但し、残念なことは日本国内における春画の評価が非常に低いことです。逆にあれだけキリスト教による性に対しての抑圧のある海外においては非常に春画に対しての評価が高いのです。
ヨーロッパでは1990年頃から春画の展示会が開催されていたのですが、スポットを浴びる切っ掛けとなったのが、浮世絵研究家の白倉敬彦氏曰く、1995年に大英博物館で開催された『喜多川歌麿展』だったとのことです。
この展示会において、通常の浮世絵と一緒に、歌麿春画の一部が展示されました。由緒ある博物館で春画が取り上げられたことで話題を呼び、カタログがあっという間に完売し、増刷を行ったようです。
その後も2002年にフィンランドヘルシンキで大々的に春画展が開催、遂に2008年にはニューヨークで開催され、ヨーロッパ以外でも春画の芸術性が認められることとなりました。

更に2009年、スペインのピカソ美術館では「Secret Images」と題された企画展で、ピカソが個人的に所蔵していた春画と、これらの春画に影響を受けて制作されたとみられるピカソの作品が同時に展示されました。
この企画展は世界中で大反響となり、その年のヨーロッパで開催された最も優れた企画展として賞を得たそうです。
これだけ海外で評価の高い、春画が何故!日本国内では下品だとか、教育上良くないなどの評価を受けているのかが、本当に不思議でしょーがないです!!一枚一枚の絵から浮かび上がるのは、『生』に対しての本当に生き生きとした素晴らしい表情です。
ただ単純に絵柄を見て醜美を語るようなPTAのおばちゃん連中の浅い見識では無く、その絵から発せられる、自由闊達なパワーを目で見て、皮膚で感じてもらえれば、当時の人達の息づかいと、作品から放たれるエネルギーは、時代が過ぎても衰えること無く、見るものの、心と本能を擽る素晴らしいものです。
あ、最後に立命館大学アート・リサーチセンターの創立10周年記念の企画として、第1回春画プロジェクトとしてネット上で『春画』が見られるようになっていますので、興味がある方はそちらもご覧下さい、URL:http://www.dh-jac.net/db12/shunga/index.html当時の人達の『生と性』を感じてみて下さい。

春画 江戸の絵師四十八人 (別冊太陽)

春画 江戸の絵師四十八人 (別冊太陽)