人間の労働の本質は、「運動」 と 「感情」、そして 「思考」 の三つの中枢部がともに働くことにある。 この三つがそろって働き、行為を生みだすことができる。 すなわち、真理にくいつくことができる三つの脳を持った動物の労働である。 これが人間の労働というものである。
そうあるべき方法で働くならば、床を磨くことにさえ、百冊の本を書くよりも一千倍の価値がある。 だが、三つの中枢部で労働を始め、これらを労働に集中させる前に、各中枢部を別々に訓練して、集中できるように準備する必要がある。
まず、運動中枢部を訓練し、他の中枢部とともに働けるようにする必要がある。 各中枢部それ自体が、三つの部分で構成されているのである。 人間の運動中枢は程度の差はあれ、適応している。
次に難しい中枢部は思考であり、いちばん難しいのが感情である。 我々は、運動中枢を集中させることでは、小さな点では成功しやすい。 それにひきかえ、思考、感情のどちらの中枢もまったく集中できない。
ただ望みの方向に思考を集めることに成功することを求めるのではない。 それは成功しても、単なる機械的集中で、誰でもできるものだ。 三つの脳を持った人間の集中力ではない。 いかにして連想作用に依存しないかを知るのが重要である。
真理に 「くいつく」 ことは、言葉を変えれば 「吸収」 である。 運動中枢の集中に慣れてきて、思考と感情の集中ができるようになれば、一つの行為、労働そのものを吸収したことになる。 それはひとつを知ってすべてを知ったということだ。 信じがたいかもしれないが、一つの行為、一つの行動を完璧にできるというのは、すべての労働をマスターしたのと同じことなのである。
4月30日(月)に開催致します。
テーマは「スポーツ障害と操体」です