東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「日本医学」5/5 流行と不易

5 流行と不易

橋本師は、「操体は、日本の様な四季のある穏やかな気候風土の国でなければ生まれなかっただろう。」と話されていたそうである。

この国の先人達が育んできた、美しい伝統文化を師は尊んでおられた。

日本の固有の伝統文化、例えば、言語を取り上げてみたい。

大和言葉」が在った所に「漢字」が輸入され(習合され)、それらを使いやすくするために「カタカナ」と「ひらがな」が発明された。他の外来語は、翻訳されるか、或いはカタカナで表記され、日本語の文脈の中で使われる。(現代では、ローマ字表記や原語がそのまま使われることもある。)
伝統に即し、新しい良いものは取り入れ、加工して使いこなし(新しい伝統)、さらに新しい良いものを取り込んで発展進化してゆくのである。

芭蕉は、「流行と不易」という表現をしている。

時代や社会環境が変化しても不変の本質と、世の流れにつれて変わってゆくもの、変えてゆかなければならないものを見極めなさい、と言っている。

橋本師は人生を賭して、生命にやさしい慈しみの医学を創始された。そこから生まれた遺産(操体の原理原則)は変えてはならない。それは、「快」をききわけ、「快」を味わうこと、般若身経、連動学、言葉掛け、などである。これらに含まれる真理は操体の不易であり、真摯に学ばなければならないことである。(ちなみに、三浦先生は、「操体は、橋本先生からお預かりして、有難く使わせて頂いているものだから」と常々話されている。)

操体を十分にマスターした上で、他のテクニックを応用していくのは許されるであろう。また、才人が現れて、新たなる不易を創造する可能性も秘めている。

筆者は最後に一言申し上げたい。「操法は大きな器であると。」と。


山野真二