東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

骨粗しょう症のおばあちゃん最終回

ねじる操法の次に片方ずつ手を挙げる操法をやりました。
おばあちゃんは左手を挙げると左肩が痛く、右手の方が
挙げやすいといいました。
私は「こういうときはどうしたらいいですか?」と逆に
質問をしてみました。
そしたらおばあちゃん、「左を挙げるっ!」。
私はガクッとづっこけ「ええっ、挙げやすい方を挙げるんじゃ
なかったっけ?」
「あっ、そうだったねぇ」と笑うおばあちゃん。
みなさん、特におじいちゃんおばあちゃんは、わかったような
返事をしてにこにこ顔でうなづいてもだめです。
ほぼわかっていませんから。
これが事件なのでした。

そして今度は仰向けに寝てみてもらいました。
おばあちゃんは寝て起きるときがすごくつらくて、起きるのが
大変だと言っていたのでした。
仰向けに寝るときも腰が痛そうでした。
「アィタター」とからだを斜めにしてゆっくりと寝ました。
寝てしまえば痛くないとのことでした。

私は膝裏を調べてみました。
コリは見当たりませんでした。

首、肩、肩甲骨周囲と触診したら、やはり最初に気になっていた
右肩甲骨と背骨の間のコリに手が止まりました。
そのコリを軽く押したり皮膚をずらしたりしてみると、
おばあちゃんは「押してもらうど腰まで効ぐねー」と
驚いた顔で言いました。
「こうして押したままにしていてほしいですか?」
「はい、いい気持ぢで効ぐ感じだねー」と言いました。
「いい気持ちがなくなったら教えてくださいよー」
40秒程して、コリがメリメリほどけてくるのがわかりました。
それと同時位におばあちゃんが「なぐなったねー」と
私を見ました。

「はい、ではそのまま少し余韻を味わっていてください」
少ししてから「ではゆっくりと起きてみますか?」

「起きるときにイデんだよね」と不安そうなおばあちゃん。
「あらっ、あららっ、イデぐないぇ!」
すんなりと起きて腰掛けて微笑みました。

「腰じゃなくて肩が凝っていたんだね」
「今までこの腕でたくさん働いたんでしょう」
私はおばあちゃんのいっぱい働いた感じのする手を見て言いました。
「んだねぇ」
「コリに、ごくろうさまでしたねーと言って押しときましたから」
「はい、ありがどうごじゃいます」
「自分でも言うんですよ、からだに」
私はおばあちゃんに教えながら自分も言うのを忘れているなーと
すぐに感じました。
「ありがどうごじゃいます」

今 昭宏
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読者のみなさま、
一週間、おつき合いをいただきましてありがとうございました。

来週はみなさんお待ちかねの佐伯さんです。
お楽しみに。


8月28、29日は大徳寺玉林院にて「東京操体フォーラム in 京都」開催
9月18、19日スペイン、マドリードにて「操体フォーラム in マドリード」開催