東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

本日土用丑の日

近所のスーパーで、ここ最近、鰻の販売に力が入っています。
売場のスペースが拡張され、なにやらテーマソングらしきものが流れているのです。
特に面白みのないメロディですが、やたら耳に残るのでお裾分けを。



霧島湧水鰻
(前半はドラマ仕立てになってます)



今日26日は土用丑の日。一年で最も鰻が食べられる日です。
今では鰻と言うと、上物になるといい値段がしますが、かつては庶民の食べ物でした。


江戸時代の始め、干拓によって鰻が多く住み着くようになりましたが、油が強いため、労働者向けの食べ物であり、雑魚の扱いだったようです。
後期になると、やがて、開いて蒸したものを焼くようになり、一般に広まりました。
土用の丑の日に鰻を食べるのは、鰻屋に相談された平賀源内の発案との説が有力ですがどうでしょうか。




今までで一番おいしかった鰻の記憶は、一昔前に遡ります。
20歳の夏、何を思ったのか、鰻屋でアルバイトを始めました。
そもそも、それまで鰻を美味しいと思った事は無く、むしろ苦手な部類でした。あの独特な臭みと甘ったるいたれが苦手だったのか、そういえばすき焼きも苦手でした。


東京は吉祥寺の老舗で、4代目。
店主は気っ風の良い女将さんで、賄いもよくスタッフのリクエストに応じて作ってくれました。
食事の時間が楽しみだったものです。
常連のお客さんも多く、繁盛していたのですが、やがて事情により店を畳むことになったのです。
最後の営業が終わった後、みんなで鰻を食べたのですが、それまで見た事がない、重ねの筏盛りでした。
おそらく引退を決めた鰻板さんの渾身の焼きと、旬を迎える時期の鰻。最後の一日。
いくつかの条件が揃い、忘れられないものになりました。
もうこんな鰻を食べる事は無いだろうな、と思ったものですが。


お陰様で、鰻は好きになりました。



本日土用丑の日。おそらく源内に言われた鰻屋は毎日貼り出していたと思われます。
日にちにこだわる必要はないでしょうが、鰻でも食べて暑さを乗り切ってみてはいかがでしょう。



辻知喜


8月28、29日は大徳寺玉林院にて「東京操体フォーラム in 京都」開催
9月18、19日スペイン、マドリードにて「操体フォーラム in マドリード」開催