東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「師の成したるを学ぶのではなく、師の成さんとする姿勢を学ぶ」

この言葉は操体法東京研究会の講習の席で、三浦寛理事長から寛理事長から幾度となく指導を受けた言葉であり、操体を学ぶ上での指標としている心構えでもある。

操体の創始者は誰ですか?」と操体を学んでいる人に尋ねたならば、ほぼ100パーセントの確立で橋本先生の名前が挙がってくるでしょう。もちろん操体を学ぶのであれば橋本先生から直接指導を受け、その先生の学んでいる姿勢を学ぶことが出来ればよいのですが、橋本先生が亡くなってしまった現在では不可能なことです。

橋本敬三先生が亡き現在において、私たちが橋本敬三先生の在りし日の姿を感じることが出来るのは、執筆された著書や、在りし日の映像、音源を通してその存在を感じることが出来ないのだが、それらはあくまでも橋本先生が成したことの記録に過ぎず、ロールプレイングゲームで言うなら、スタートボタンを押した時点でラスボス(ラストに出てくる大ボス)が出てくる、もう少し噛み砕いてソフトバンクホークスのピッチャーで例えるなら、守護神馬原が先発で出てくるようなものである。例えが悪いので恐縮であるがつまり、答えが先に書かれていて、その答えに至るまでのプロセスが表現されていないのだ。

それでは、どのようにすれば、橋本先生の成そうとしてきた姿勢を学ぶことが出来るのか、それは間違いなく生前の橋本先生の学び方を踏襲している師について学ぶことだと思う。操体法講習会の看板を掲げてある先生は多々あれど、その先生の学びの姿勢は少し本気で勉強しようという志があるものであれば一目瞭然に理解できるはずである。誰が良くて、誰が悪いなんて比較をしようとは思いわない。学ぶ本人がからだにききわければよいのだ。自分が信じた師の下で本気で学べば、それなりの学びは得られるはずである。三浦理事長は折に触れ「こんなときお師匠(橋本先生)ならばどうするのかと自問自答しながら臨床をやっている。」という話をされる。三浦理事長の中では今も橋本先生は生き続け、新たな気づきを与え続けてくださっているのだ。私たち東京操体フォーラムの実行委員はたまたま(私はこのたまたまを運命と呼んでいる。)、からだにききわけた結果三浦理事長を師と仰ぎその後姿に橋本先生の後姿を感じながら、日々操体をまなばせていただいている。三浦理事長を通して橋本先生の成そうとした姿勢を学ばせていただいているのである。

操体を学ぶに関連して、九州・博多という地に住んでいると、「操体を勉強したいのだが、東京まで行くことは出来ないので、九州で良い先生は知らないか?」と質問されることが良くある。答えはもちろん「NO!」だ。文法的に正しく言うなら「I don't know」かもしれない。操体をリスペクトし、本気で学んでいる私に楽して学ぶ方法を教えられるわけがないのである。折角学ぶのであれば、最高の気づきを得て欲しいし、一流の学び方というものを感じて欲しいと思う。だから本気で学びたいと思うのであれば、東京になら信頼できる最高の師がいるから学びに行ったほうが良いとお伝えすることにしている。行くかいかないかはその人の気持ち次第だ。

今日から一週間はNO!と言える九州人の秋穂がブログを担当させていただきます。先々週担当していただいた山本実行委員にスペインの旅行記をまとめていただいたので、明日からの私のブログではフォーラムインマドリッド外伝「秋穂一雄もかくありたい」と題して、スペイン、トルコで私が感じたあれこれを書かせていただきたいと思います。宜しくお願いいたします。


秋穂一雄


新刊情報:皮膚からのメッセージ 操体臨床の要妙Part Ⅱ(三浦寛著)、たにぐち書店より発売。 
11月20、21日千駄ヶ谷津田ホールにて2010年秋季東京操体フォーラムが開催されます。
2010年8月、社団法人日本操体指導者協会を設立しました。