東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

楽と楽(がく)

いよいよ、今日から師匠も全力疾走する「師走」へと突入します・・・一年あ!っと言う間でした。。。それでは本日分、宜しくです。
今回のブログは私的には”楽(らく)”について書いているのですが、漢字は同じでも楽(らく)楽(がく)ではちょっと様子が違ってきます。
とは言っても“楽(がく)”と読むのはその殆どが、音にまつわるもので「音楽、雅楽、楽器、楽団、能楽、声楽」と全てが音並びです。
まぁよく考えれば、音って我々にとっては切っても切れないもので、音の無い生活、音楽の無い生活を考えると私的にはゾーッとします。音の効用って幾つかあると思うのですが、一つは記憶と直接繋がっていて、大きなヒーリング効果があることでしょうか。先日も家内と車で走っている時にラジオからレベッカ「フレンズ」が流れた時に思わず、「お〜・・懐かしいぃ」と二人同時に呟いていました。当時、付き合いだした頃によくかかっていた曲だったと思うので、思わずその頃の話に花が咲きました。たったその一曲がかかったお陰で、お互いがホンワカした気持ちになれて、何だか妙な感じでした。これって多分、音楽と記憶のヒーリング効果なんだと思います。

この様な経験は多分、誰しも持っていると思います。記憶をより明確化しようと思えば、視覚・聴覚・嗅覚など感覚器と同時に共有すると記憶はより明確に定着化します。
音や音楽は古くは卑弥呼の時代からも祭礼や儀式の時に使われていたと思われます。これらは多分にマインドコントロール的要素が強く、儀式等は夜に行われることが多く、夜のひっそりとした幻想的雰囲気に火を燃やし、群衆に炎を見せることで気持ちを高揚させ、音や音楽の一定のリズムで一種のエクスタシー状態を作り上げるのが、彼等の手法でした。夜+炎+音楽”口説きの三種の神器”と言われ(誰が言っているのだ?)この三つが揃うと、人は心を開きやすく、身体も開きやすくなると言われています(だから誰が言っているんだ?)。
古くは村のお祭りなどは収穫も終わり、気持ち的にもユッタリしている時に、当時娯楽も余り無い農村で、収穫後の祭りなんぞは炎の元で太鼓のリズムは身体の奥底にある欲求を掻き立て、踊りの最中にたくさんの若者が森の奥の闇に消えていったようです。
近いところでは学生時代のキャンプファイヤーもそうですねぇ。夏の夜、キャンプファイヤーの炎と波の音、普段はそんなにいけてない子でも、妙に格好良く、可愛く見えたり、見つめていると、何だか小っ恥ずかしい台詞も言えたりして、おまけに傍らでは流行の音楽が鳴り響いていると、勢いでひと夏の経験をしてしまいました。などなど、枚挙に暇がないです。

やはり、ここでのキーワードは「音楽(音)」なのです。だって、夜と炎だけだったら、妙に地味な集会になってしまい、周りにあるゴミでも燃やそうかと、逆に寂しくなったりしますが、音楽が入ることでやはり心が解放されるのですねぇ。

音楽に関して言えば、聞くことも快感に繋がるのですが、もっと快感は演者になることです。人前で歌ったり、演奏したりした経験がある人なら分かると思うのですが、人前で何かをして、それに対して拍手や声援を一度貰ってしまうと、その快感たるや忘れることが出来ないのです。まさにアドレナリン出まくりのチョー快感状態になってしまうのです。
私も学生時代は野球をずっとやっていたので、応援団の声援をうけながらバッターボックスに入ったり、試合をしたりというのは経験していたので、それはそれで気持ち良かったのですが、音楽の気持ちよさはそれとは又、違った快感だった様な気がします。
若かりし頃、学祭などでグループ組んで歌ったり、アマチュアバンドを組んだりした時期があったのですが、スポットライトを浴びて皆の注目の中で歌ったり演奏したりは、緊張感の中に大きな快感がありました。

アマチュアでもそうなので、プロになればそりゃぁ、たまらんでしょう!引退した歌手がスポットライトと声援が忘れられず、カムバックしてくるのもわかる気がします。
ある意味一流のミュージシャンは一流の”治療家”とも言えるのです。自分も気持ち良くて、見ている観客も気持ち良く出来るなんて、最高の「快の共有」だと思います。一回のステージの中で、泣いたり、笑ったり、曲に感情移入して共感したりと、歌が出来ることの可能性はまさに大きいと思います。
あのライブを見た後のスッキリ感だったり、爽快感はまさに操体での施術後のスッキリ感とよく似たものがあります。ジャンルは違えど、楽しまそうと企んだものより、自らが心の底から楽しみ、それを伝えることが真の快の共有なのです。

臨床も同じで、腰痛だからこうしてみようなどと、変な欲を出して考えると、クライアントの身体に見透かされてしまい、思った結果が出なかったりと、まさに日々真剣なライブなのです。一流は全てに通ずですねぇ・・・