5日目の今日はケイゾー・コードの本丸である。初日にあげた『生命現象の云々〜』という文章はこの項に書いてある文章である。この部分は主に私達を悩ませる症状疾患とこころとの関係性に注目して書かれているところであり、西洋医学の医師であった橋本先生が、東洋医学にその活躍の場を移し、操体という治療哲学に至る精神的な柱となる内容が書き残されている。永遠のティーンエイジャー、操体界のジェームス・ディーンこと秋穂一雄にとっては、中々難解な文章であるが、ケイゾー・コードを読み解くためには避けては通れぬ道である。早速読み解いてみたい。
この中にこころがからだに影響を及ぼした症例がいくつかあげられている。精神病を煩い痛みに対して鈍くなっている患者が痛みが強く難治であるはずのひょう疽(ひょうそ、四肢の末端に黄色ブドウ球菌が感染して引き起こされる病気で蜂窩織炎という診断名がつく。)が無痛のうちにケロッと治ってしまった話や単身赴任中の夫が帰宅するごとに赤ん坊が下痢をすると言いう話。心労を伴うマネージャー病として消化器系に潰瘍を作りやすいという話が例としてあげられている。私も以前蜂窩織炎の痛みが出ている方のお話を聞いたことがあるが、その方も仕事上ストレスが強くなる時期に限って蜂窩織炎の痛みが強くなるのだというお話をされていた。フムフム。そういえば中間管理職の人で「胃の調子が悪いんです・・・」と訴えられる方多いもんな〜。そういえば私も最近胃の調子が悪くて脂っ濃いものがあまり食べれなくなって来ている気がするのですが、これはもしかして年のせいってヤツですか?あと子供を持つ父親として特に気になるのがパパが帰宅すると発症する子供の下痢の話です。橋本先生の文中ではその方の奥様がご主人の帰宅を非常に興奮した状態でお迎えされることが原因で子供のからだに異変が起きてしまったケースだと云うことだ。そういえばうちの子も私が東京に行っている時に限って熱を出しているかも・・・はっ!もしや・・・ひとのからだと云うものは本当に興味深いものである。これも聞いた話なのであるが、ある人が膝が痛いと言っては様々な病院にかかって治療をしても一向に良くなる気配がないので、とある霊媒師の所に見せに行ったら、以前自宅で労働力として飼っていた馬が念仏をほしがっているという話をされたということで、家に帰って熱心に念仏を唱えたら、なんと何をやっても治らなかった膝の痛みが軽快したのだという。『馬の耳に念仏』と云うのはもしかしたらこういうことかもしれないと云う笑い話であるが、症状が本当に軽減しているのだから笑えない話でもある。私達の仕事もうかうかしていられない。
文中『精神身体医学はこれからもっと開発されていくであろうけれども、執着する心、失いたくない心、災害が増すのではないかというような恐怖心とか、憎しみの心などは、たしかに或る影響を与える様に思われる。』この辺りに関して非常に繊細だった私は今、考えてみると「あ〜、これ心身症の一種だよね。」という病気にいくつか心当たりがある。小学校一年生の時に福岡の田舎から街に出て来た時に、肺炎をこじらせて生死の境を彷徨っていたのが、田舎から取り寄せたお不動様のお札を飲んだら治ったり、毎年プールの授業中に立っていられない様な強いめまいや立ちくらみに襲われて、授業をボイコットせざるおえなくなってしまったり、夏休みの最後の日になると必ず強度の腹痛に襲われたりと中々親を困らせた少年時代を送って来た。自分がこの年になって当時の自分自身を振り返ってみた時に、生活や学校環境の変化への不適応や、小さい頃川で溺れた記憶、そして多すぎる夏休みの宿題(?)が如何に私のこころとからだに影響を及ぼしたのかが理解出来る様になって来た。さらにその経験があるからこそ、こころが作り出すからだのトラブルに対して非常に現実的に受け止めることができる様になっている。恐らく親は8月31日になるたびに「また今年もやってきた・・・」と内心思っていたであろうが、当時の少年Aくんにとっては宇宙人に内蔵をえぐり取られたのではないかと云う様な強い痛みを実際に感じていたし、暑い夏の日に水着に着替えてプールに来るまでは良いのだけれど、いざ水に入って泳ごうとすると立っていられない程の目眩に襲われ、本当に立っていられなくなってしまっていた。これを仮病という言葉ひとつで片付けられるのは心外であるが、今になって冷静に考えてみると単なる仮病以外の何物でもない。そんな多感な少年時代を過ごして今はどうかと云えば、橋本哲学に触れすっかり吞気ものになってきたのか、今はプールに入ろうが、何かの締め切りを過ぎてしまおうが、体調を崩すことは全くなくなりました。むしろプールや海は大好きです。未だに泳ぐのは苦手なのですが・・・水着は特に大好物である。こんな大人になるつもりはなかったのですが(苦笑)
日本の夏と云えば、TUBEとサザンとあきほダネ。
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