東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

〜意識一つで〜

座席に座る。
足底がしっかりと接地しているのを確認しながら、
ゆっくりと自分の中心軸を作る。
ポジションが決まったら、そっとハンドルに触れ、
中指から小指に意識を向ける。
自然と脇が閉まり、肩甲骨とつながる。
目線を正面の一点にすえ、
視野が狭くなることなく広角的に使う。
アクセルを踏み込むときは母趾球で、
カーブを曲がるときは肘を正中に向けながら肩甲骨でハンドルを切り、
作った中心軸は崩さない。
ブレーキをかけるときは重心移行と骨盤の前弯曲で対応。
すべての行為を優しく、丁寧に…

これを読んで「なんのこっちゃ」と思われる方もいると思いますが、
実は車の運転中の私の意識なんです。
これは車に対して、操法を行っているような感覚で対峙しているんですね。

操体の身体運動の法則は何にでも応用が利きます。
ちょうどたまねぎの皮をはいではいで最後に残った芯のごとくであり、
すべての運動の粋の粋、行住坐臥すべての行為に当てはまります。
そして法則に身をゆだねるとスーッと余計な思考が消えていく。

私の営業形態は訪問スタイルなので、移動手段に社用車を使いますが、
計算してみると週9時間は運転していることになります。
その時間と空間をどう有効に使うか。

私の意識を法則にゆだねてみると、社用車が相棒となり、私と同じ血が流れ、
「ぼ〜くらは、みんな〜、い〜きている〜♪」のテーマが流れ、
意識一つで相棒のちっちゃな室内にいる9時間が
操体的な臨生空間、臨生時間となって広がってゆく。
「相棒にも生命があったのね」と気づかされる。

鉄の塊だったとしても、もとをたどれば太極から生じているのですから
「お前さんにも生命があるよ」と声をかけ、操法を通すがごとく意識でつながる。
草木国土悉皆成仏。有機も無機も分け隔てなく、みんな一緒なんですね。

そろそろ修理代が購入代を越えそうな相棒へ。
車検まではもってくださいね(笑)

今日はこのへんで。ありがとうございます。