東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

マズロー

先日、春季東京操体フォーラムが盛会の内に終了致しました。
『入眠儀式 快眠・快醒(かいせい)のコツのコツ』をテーマに
午前中、各実行委員が発表を行いました。

最初に岡村実行委員長がサーカディアン・リズムなどに関して
発表をされたのですが、その中でマズローの欲求五段階説』
についての話しがありました。
実はこのマズローさん、岡村実行委員長はサラッと流しましたが、
結構凄い人なんです。私も最近かじっている『心理学』における
キーパーソンの一人なのです。

心理学の歴史的大きな流れとしては皆さんご存じのフロイト
ユングさん達がいらっしゃいます。
その中でもこのマズローさんは今迄の主流だった精神分析
”行動主義”とは対照的に主体性・創造性・自己実現と言った人間の
肯定的側面を強調した心理学の一群の潮流で『ヒューマニスティック心理学』
を提唱された方です。

そのマズローさんが言われていたのが、『人間は自己実現に向かって
絶えず成長する生きものである』
と仮定し、人間の欲求を5段階の階層
で理論化したものが、岡村実行委員長ご推薦のマズローの欲求五段階説』です。

よく考えると、私自身もサラリーマン時代に営業経験がありますので、
何かの研修の際にマズローさんとは聞かなかったのですが、人間には
五つの欲があって等という話しを聞いて覚えていた記憶があります。

このマズローさんが言うには、人間の最も底辺にある欲望は『生理的欲求』
だそうです。『食物、お金、物』など人間の本能的、根源的な欲であり、
野生の動物はまさにこの段階だと言えます。今日食うに困る!とか食べ物を
買うお金が無い!など今日一日を生きていくのが困難な状況にある方はこの
生理的欲求段階にあると言えます。

第二段階になると、『安全の欲求』になります。何とか日々、食べられる様になり、
安定した収入を得て人間らしい生活が出来る様になると、雨露をしのげる住み家が
欲しい、動物や人に襲われない住居が欲しいなど、身の安全を求める欲求がこの
段階になります。

殆どの日本人の方がこの第二段階まではクリアーしていると言われています。

それが第三段階になるとお金もそこそこ手に入れ、雨露しのげ、人並みの生活が
送れる様になって来ると、『自分自身を認めて欲しい』、自分が社会に必要と
されている、果たせる社会的役割を求める段階『愛と所属の欲求』です。
ブランド品を身に付けたり、家族からの尊敬も欲しいと考えるのがこの段階です。

ここからが先程までの第三段階の欲求とは大きく変わる『社会的承認の欲求』です。
先程までの三段階までを『欠乏の欲求』と言いますが、この第四、第五段階は
『成長の欲求』と呼ばれます。

この第四段階になって来ると、個人的満足から、自分が『集団』から価値ある存在
と認められ、尊重されることを求める欲求となります。
慈善事業を通しての社会貢献など、パーソナリティな欲求から、より外との繋がり
の中から大いなる価値観を見出そうとします。
この欲求は初期段階を”他者”からの尊重だとすれば、より高次になって行くと
”自己尊重”というより自分自身を磨くことに重点をおく様になって来ます。

そして最後の欲求が自己実現欲求です。
この最終欲求は、四つの欲求がすべて満たされたとしても、人は自
分に適していることをしていない限り、すぐに新しい不満が生じて
落ち着かなくなって来ます。
自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、具現化して自分がなりえ
るものにならなければならないという欲求。すべての行動の動機が、
この欲求に帰結されるようになって来ます。

例えば世界のミリオネアと言われる方々は、その殆どが第四から第五
辺りにいると言われています。かのビル・ゲイツも資産の95%を慈善
活動にあてたり、もはや、見ている世界の次元が変わってくるのだと思います。

マズローさんとは全く違いますが、思わず仏教の『六道』を思い出しました。
迷いある六つの世界『天道、人間道、修羅道畜生道、餓鬼道、地獄道
言う心の状態として説いておりますが、マズローさんの言う『五段階欲求』
の何処に自分がいるのかを冷静に考えると面白いかもしれません。
足りないモノが見えてきたり、今の自分を見つめる機会になるのかもしれません。