東京操体フォーラム 実行委員ブログ

操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

ちょっとのこと7

道端にちょこんと咲いている草花、静かに枝を拡げて立っている樹木、日陰にひっそりと生きているコケ。そういった植物的なものに改めて意識が向くようになったのは、思えば昨年の春分の日のことがきっかけだったと思う。

 

我が家の小さな庭にはどこかから飛んできた名前も分からない若木がいくつか生きている。名前は分からなくても、なんとなくかわいらしく感じられてくるから不思議だ。

 

それらの木は冬の間にすべての葉を落とし、枝だけの姿になっていたが、朝の日課で冬の期間もときたま水をあげていた。

 

それまで、冬は植物から感じられる変化はそれほどないものだと思っていた。冬芽をつけながらじっとして静かに春を待っているくらいなように感じていたので、微細な変化などあまり気にかけてもいなかった。

 

そして春分の日の朝のこと。

いつものように外に出で、今日は天気がよさそうだから水でもあげようかと感じていたら、あることに気がついた。冬芽をつけて枝だけだったいくつかの若木のところどころに緑色の若芽が芽吹いていた。

それも、一つの個体だけではなく、庭に生きている植物のそれぞれが何かを申し合わせてでもいるかのように芽吹いているようにみえた。

その光景に眠っていた生命感覚が揺さぶられるようなきもちになった。

ことばをもたない生き物たちが、私たちの気が付かない、意識できない方法で自然環境と情報交換をして、生命力の発現の機を伺っているのではないか。そんな壮大な営みが感じられるようだった。

 

冷静に考えて、正確には、自分にそのように感じられただけかもしれないとも思う。

冬の間油断していて、もしかしたら数日前からそういった傾向があったのに気が付かなかっただけで、徐々に植物それぞれのリズムで芽吹いていたのかもしれない。

 

ただ、ひとつ強く感じられたのは、自分が気が付かないだけのことが、本当にたくさんあるということだった。それも、植物園や大自然を訪れなくても、いま目の前にも転がっているんだという悦びだった。

 

さてもうすぐ、春分の日。

というわけで、今年は油断せずにじっくりと観察をしながらこの日が来るのを待っている。

 

一週間のお付き合いありがとうございました。

明日から友松実行委員のブログがスタートします。

 

春のフォーラムも来月開催予定です。

どうぞお愉しみに。

 

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今年は見逃さないようにしよう