東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「プチ鬱の宏ちゃんと首痛の恒さん」1

一昨日、東京操体フォーラム相談役の平さんのご紹介で鬱症状が少しある女性(宏ちゃん)と首痛のご主人(恒さん)
が治療と講習を受けに来てくれました。宏ちゃんは夜眠れないのがつらいといいました。でも、三年程前に結婚してから少しずつ良くなってきたとのこと。ご主人のやさしさがそうしているような感じがしました。


プチ鬱の原因はいろいろなショック体験のようでした。私は時間がたっぷりあるので、少しお話をしてから操法
することにし、教科書代わりに「楽しくわかる操体法」の本を一冊ずつ渡しました。(おしうり)


そしたらなんと、恒さんがこの本の編集をしてくれた
医道の日本社の的場さんと知り合いだったらしく、「おおっ!」とびっくりいたしました。ご縁とは実に不思議で楽しいものです。


「五ページを開いてください、これがあれでそれがこれです」などと私は一通り操体法のおおまかなことを伝えました。


そして、想の話になったら二人とも目をピカピカに輝かせておもしろそうに聞き入ります。
私はなぜかそんなキラキラの波に乗せられてヘラヘラと話をさせられることになりました。


「あのね、運命って口から出す言葉の方向に進むんです。だから幸せだーとか嬉しいなーとか良かったなー、ありがたいなーと言葉に出して言っていると、そういう現象が引き起こるんです。反対に不平不満なんかばかり言っていると、そういうイヤなことが起こるんです」
(コピー用紙にあれこれ書いて説明する私)


「ショック体験の恐怖感などの感情は、空手チョップポイントをこうしてとんとんタッピングしながら表現して
みるといいですよ。本の最後の方に丸住さんがまとめてくれたトントン操体というのがあるのでためしてみたらいいです」


「あら、きもちがいいです」すぐにためす宏ちゃん。


「ま、じっくり家でやってみてください」


「10年以上前に30代の鬱症状の女性が私の所に何度か通っていたんだけれども、結局自殺してしまったんです。
あのとき自分の未熟さが身に沁みてねー、なんとかなるほんとうのことを探してきたんです。からだの調整だけしてもだめなときもあるし、心の面だけでもだめなときもあるんです。からだの凝りと心の曇りを両方クリアーにしてゆかないと間に合わないみたいなんです」


「あと、許すことかなぁ。なんでもいいから自分を許すって言ってみて」。
「ええっ?」
(ここでしかたなく三回そう言う宏ちゃん)


大抵は誰かが悪いと思っているんだけれども、その奥にあるものは、そう思っている自分が許せないんです。だから自分を許せばいいんです。言うだけだから簡単でしょ」
「はい」。


「それから操体では快感を味わうということを言いますが、不快感が、快感を味わうことで、なんともない状態、に安定するってことなんです」
「いつも気持ちがよくてニコニコしている状態になるってことではないんです。そういうのは逆に病的だよねー」
「一時的に快感が味わえるってことです」
「ま、一応そんなことを覚えておいてください」


「ではちょっと操法をやってみますかね」


つづく



今昭宏