東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「日本医学」3/5 調和融合

3 調和融合

橋本師は、自説を誇示することもなく、他と争うこともなかった。むしろ、良いものがあれば積極的に頭を下げて教えを請い、少しでも自分のものにしようとされた。だから、師の交友関係は多彩で広い。当時の高名な医者、治療家の方々と君子の交りをされている。

もう一つ大事なことがある。

操体では、患者と操者の一体化を目指す。両者は「快」の波動によりお互いに交流する。

「操者は、第三者が介入することが出来ない患者の感覚に関与する。」一つの操法は、その時その場でしか味わえない固有の「快」を引き出している。その「快」の波動を両者は共有している。即ち、患者が「快」を味わっている時は操者も癒されている。「一期一会」の世界である。これが、操体はテクニックではない、と言われる由縁である。

同じ操者と患者の組み合わせで同じ操法を行ったとしても、同じ結果が得られるとは限らない。それは、ひとえにその時その場での“患者の感覚”(より良質の「快」を味わえるかどうか)、にゆだねられているからである。

余談であるが、人類共通の願いは、「与えられた条件下で、より快適な暮らしをしたい。人生を豊かに全うしたい。」であろう。

日本人はそのために、自然との調和、個と全体の調和を考えてきた。自分のためにしていることが、人のためにも役立っている、という生き方を模索してきた。そして「お陰様で」と互いに感謝しあった。

生かし、生かされている、のである。



山野真二