実家の隣の道路を挟んで、お寺の敷地になっている。
子供時代のいい遊び場だった。
地元の人は感応寺と呼んでいるが、正式には、鎮国山感應禅寺。臨済宗のお寺である。
築年数は比較的新しく、数十年以内のこぢんまりしたところだ。
実際には歴史は古く、開山は800年以上前のこと。
栄西禅師によるもので、日本最古の禅寺の一つだという。
薩摩入りし、出水を最初の拠点とした島津氏の菩提寺となり、やがて大寺院となる。
しかし、現在の姿から想像するのは難しい。
幕末から明治初期の廃仏毀釈により、藩内1600余りの寺院は全て取り壊される。
菩提寺の福昌寺や感応寺も免れなかったようだ。
栄西は臨済宗を日本に伝えたが、同時に喫茶の習慣をもたらした。
意外と知られていないが、鹿児島はお茶どころである。
全国の生産量の三割近くを占める。
実家の庭にも茶の木がいくつかあり、僅かではあるが製茶して貰っていた。
幼い頃、祖母に連れられ訪れた先でよくお茶を飲んでいたことを今でも覚えている。
お茶が好きだった。
成長してからは、お茶の代わりに焼酎が出るようになったのだが。
1191年、
宋から帰国した栄西は、すぐには都に戻らず、九州の各地に禅宗の寺院を開く。
と同時に茶の栽培も伝えられた。
茶者養生之仙薬也
延齢之妙術也
山谷生之其地神霊也
人倫採之其人長命也
(喫茶養生記)
橋本先生は井ヶ田の一号芽茶がお好きだったそうだが(今先生の奥様談)、ここの喜久福は絶品である。
仙台出身の友人のお土産でよく貰っていた。
去年操体バランス運動研究会で初めて仙台へ行ってきたが、迷わずこれを選んだ。
この夏、お茶が飲みたくなって鹿児島のお茶を手に入れた。
国内で生産される品種は殆どがやぶきた、それも深蒸しにされることが多いらしい。
深い緑の水色で、カルキ臭を緩和し、手軽に入れられ、煎がきく。
いいことづくめのようだが、お茶本来の香味は犠牲になる。
その為、他品種とのブレンドで香りを補っているようだ。
近年は、やぶきた一辺倒の弊害もあり見直される傾向にあるとのこと。
消費者にとって選択肢が増えるのは喜ばしいことだと思う。
良いものを見分ける目は必要になるのだが。
今回ブレンドした物や単品種でいくつか飲んでみたが、個人的な好みではあるが、ゆたかみどりの普通蒸しが気にいった。
今後変わってくるかも知れないがいろいろ味わってみようと思う。
おいしいお茶を出せるようにしたい。