東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

僕の臨床(その参)

 最終日の七日目です。よろしくお願いします。
 僕の臨床のテーマは、患者さんのからだを自分の動きから、いかに身体運動の法則に則ったからだの動きに戻すのかを掲げています。身体運動の法則はからだの使い方・動かし方を説いているわけですから、法則に反した使い方・動かし方をしていれば、からだにストレスを与えることになり、結果痛みや故障に繋がると考えています。   
 本来からだは身体運動の法則に準じた使い方・動かし方ができているのにも関わらず、からだはどのようにも動くからといって自我による自分勝手な動きをからだに教え込んでいったものが動き癖になったり、痛みの原因や故障しやすいからだになっていくのではないかと思います。本来ある姿に戻すためには、身体運動の法則をからだの作法として身につければよいのではないかと思います。
 身体運動の法則を患者さんのからだが素直にむかい入れてくれるように手助けをさせていただくのが、操体を学ぶ僕の臨床かなと思っています。
 身体運動の法則を理解し使いこなすことができれば、スポーツ選手のフォーム分析にも、からだのウィークポイントを知るのにも、筋力トレーニングにも役立つのです。
 ひとつ例をあげたいと思います。
 膝関節に強い痛みを訴えており、歩行時も痛みで疼痛性跛行がみられる方です。膝はO脚で足の踵も内反しており、重心が小趾側に重心がかかってしまいます。このまま小指重心の状態でからだの動き(連動)から感覚をききわける第二分析をしてもよかったのですが、からだをすこしでも短時間で自然な連動に近付けてみようと思った僕は足関節にテーピングをしてみました。テーピングを利用して、踵を外反にして・土ふまず(縦アーチ)を立ち上げるようにテーピングを巻き、重心安定の法則にある拇趾球の付け根に重心がかかるよう誘導しました。

 そして、拇趾球を床に踏み込ませながら足関節背屈の連動によって第二分析にて快適感覚の有無・感覚の要求の確認し、質のたかい快適感覚を味わった後に、般若身経の捻転だけを覚えてもらい帰っていただきました。なぜ捻転を選んだかというと、捻転という動きから重心安定・重心移動の法則が学べるほか、歩行時の拇趾球の蹴り出しが学べるかなと思ったからです。
 一週間後その方が来院されてくる姿をみて、ビックリしました(顔は当然をいう顔ですが)。階段を降りるときにはまだ痛みが軽くあるものの、平地や日常での痛みが嘘のようになくなったと明るい顔で来院され、再び診させていただきと身体運動の法則を素直にからだが覚えていくのには二度ビックリしました(顔は当然をいう顔ですが)。
 今回はテーピングを踵に利用しましたが、膝が痛いといっても膝だけが悪いわけではなく全身のなかの一部が膝だとすると、自然なからだとは身体運動の法則のうえに成り立つのではないかなと思いました。
 これで最終日は終了です。あっという間に時が過ぎ、ブログ最終日の七日目となりました。この一週間お付き合いしていただきましてありがとうございました。もっともっと学びを深めていけるように、日々精進してまいります。
 ありがとうございました。