東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

観る落語

子供の頃から落語は好きでしたが、田舎で育った僕にとっては、落語は観るものではなくて、聞くものでした。
今ではTVで落語を観れますしDVDなんかもたくさんありますが、当時の僕にとってはラヂオから聞こえてくるものでした。
志ん生師匠、円生師匠、文楽師匠などなど、当時はまだラヂカセの時代でしたのでテープにとっては何回も聞いたものでした。僕は文治師匠の「禁酒番屋」が好きでした。昔から下にさがる噺が好きだったんですね(笑)。

先日寄席に連れてっていただく機会があって、間近で生の落語を観ることが出来ました。当たり前ですがラヂオとはまるで違いました(笑)。刺身と干物くらい違います(かえって分かりづらいですね)。

僕は演芸事情に詳しくないので、存じ上げない芸人さんがほとんどでしたが、スゴい人はいっぱいいるんだなぁと思いました。
特にスゴいと思ったのは、舞台に出てくる時です。TVでは端折られていてわかりませんが、プロの芸人さんというのは喋りだす前に場の空気を変えてしまうんですね。それぞれその変わり方も違うんですが、早い時には顔を出した途端に楽しくなってしまう、笑いたくなってしまう、そういう気分にさせてもらえるんですね。そして明らかにそういう事を意識してされているんだなという事がわかります。きっとそれぞれの芸人さんがからだで掴まれている感覚なんでしょうが、プロというのはスゴいもんだなぁとあらためて思いました。あれを味わわせてもらうだけでもお金を払う価値があるなと思います。

臨床でも、師匠や先輩の姿を見ていると「前」って大事だなと思います。顔を合わせる前、触れる前、離す前、お帰りになる前、それぞれの「前」に臨床全体への姿勢が現れていて、全体を貫くものがこの過程ではどう現されるべきなのかはっきり意識されているのだと思います。
先日も三浦先生や畠山先生に足趾の操法をしていただく機会がありましたが、自分が同じことをやっているとは言えなくなるほど、始めから最後まで全くちがうレベルのものを味わわせてもらいました。
真打ちと前座ではこうも違うのかと思います(汗)。

これをご覧の方の中には、本の中でしか操体を味わったことのない方もいらっしゃると思いますが、是非一度東京操体フォーラム操体法定期講習会に参加していただいて「生」の操体を味わっていただきたいと思います。僕も最初に思いましたが、想像しているものを超えるものが味わえると思います。


山本明