東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

続DS眼力トレーニング

昨日(26日)は夕方から降り始めた雨の影響でとても冷え込んでいました。天気予報を見ずにオートバイで出勤した私は冷たい雨のに降られながらの帰宅となりました。からだが冷えてくるとやっぱり眼の動きが硬くなるのか視野が狭まって来るのを感じます。当然の様に全身も強度に緊張しているし、追い抜いていく車の水しぶきを浴びながら「ガオーッ!」とつい感情的になってしまったりして、「最近雨が好きになっている。」と余裕のある言葉の舌の根が乾かないうちに「雨なんか大嫌いだ〜。」と考えてしまう自分自身に幻滅・・・でも冷えきったからだでつかる暖かいお風呂は最高の癒しの時間です。これで心身のバランスを回復し5日目のブログを書き始めていきたいと思います。

今回も昨日に引き続き『DS眼力トレーニング』の話から入っていきたい。昨日書いた様にこのゲームは中々優れもので、タッチペンでの操作であるから、コントローラーの難しい操作もいらないし、不器用な私には使い勝手が良いので非常に重宝する。ではこのゲームの中でトレーニングされる眼の5つの能力(『動体視力』『周辺視野』『瞬間視』『眼球運動』『協応動作』)の事に詳しく触れていきたい。

『動体視力』
これは比較的良く耳にする言葉ではないだろうか。簡単にいうと動くものを正確に把握する能力である。野球を例を挙げるとすると、ピッチャーの投げたボールのスピードと球種を読み取り、ストライクなのかボールなのかを識別する能力といったところであろう。小山ゆうの漫画「がんばれ元気」の中で主人公の元気が、通り過ぎる列車の窓の中の人の顔を見るというトレーニングをやっていたがそういった能力である。

『周辺視野』
これはひとつの固定したものの周囲を広く認識する能力とでも表現したら良いであろうか、またまた野球を例に挙げると走者がいる状態でバッターがおこなたバントのボールをピッチャーが取った際に瞬時にランナーの位置と野手の位置を把握してどこに送球するべきなのかを認識する能力。渋谷駅前のスクランブル交差点で他の人にぶつからずに通行する時にも重要な能力でもあるが、福岡ではあまり必要とはしない。

『瞬間視』
視野に入ったものを瞬時に判断し分析する能力。とりあえず野球で例えてみると、バッターが打った強烈なピッチャーライナーを処理する為の能力と行った感じであろうか。格闘技のプロフェッショナルでもある東京操体フォーラム平直行相談役が相手からの攻撃を避けたり、ディフェンスする時に働くのもこの能力だと思う。初めて見たときから一目惚れというのは言葉としては近いが意味合いは随分違う能力である。トレーニングしていて感じるのは、あるレベルまで到達すると野生の勘みたいになって来る気がする。

『眼球運動』
さっきの『動体視力』が動くものを眼を固定したまま見る能力であるなら、眼球を正確に動かしてものを正確に追う能力である。ここまできたら出来る限り野球に例えると、バッターの打った外野フライを外野手が正確に眼で追い、落下地点まで移動して正確にキャッチする為の能力のことである。本を読む時に文字を眼で追ったり、交差点を通行する際に左右を目視確認したりと日常生活の中でも一番使っている能力ともいえる。頭を固定した状態で、眼球の動きだけ年齢や体調、運動能力による差もあるのだが左右に180度、上下に150度くらいの眼球運動の可動域があるらしい。昨夜の雨でからだが冷えて硬くなったのはこの『眼球運動』の能力が低下したと言えるだろう。

『協応動作』
これまでは主に眼という器官だけを使った能力であったが、これは眼で知覚したものを反射的に手足の運動に協応させる能力である。先程の『瞬間視』でピッチャーライナーの例を出したが、ピッチャーの脳が、「あっ!これはボールが僕の方に飛んでくるぞ!」と判断するまでが『瞬間視』で、その飛んで来たボールに対してグローブを出してボールを捕球する能力が『協応動作』である。高級なガラスのコップを落とした時にとっさに出る手の動きもこの能力、眼からの情報を元にした反射行動ともいえるのかもしれない。「かわいい子を見るとあいつはすぐに手を出してしまう。本当にあいつは手が早い。」と言うときの手の早さとは全く関係がない。

という上記の5つの能力をそれぞれ単体に用いたり、複合的に用いたりしながら私たちは日常生活の中で眼を使っているのである。ここまで眼力トレーニングの事を書いては来たが、私は何もビジョントレーニングのトレーナーになろうと思っている訳ではなく、身体運動を考える上でとても重要な『目線との関係性』をより良く理解する為に、眼の能力が運動能力に影響するかが見てみたいのである。

では次回は眼球運動と身体運動の関連性について書いてみたい・・・と思っているが今日の時点でまだはっきりと考えがまとまっていないので明日が少し思いやられる。

写真は福岡市の隣町糟屋郡久山町というところで写したホタルの写真です。暗闇にふわっとともるホタルの光がパソコンや蛍光灯の強い光に慣れた現代人の眼をやさしく癒してくれます。


秋穂一雄