東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

DS眼力トレーニング

僕はコンピューターゲームが好きではない。理由は単純である。驚く程にヘタクソだからである。

小学生の頃、任天堂ファミリーコンピューター通称ファミコンが発売された。僕も周りの友達の例に漏れず親にせがんで買ってもらいしばらく遊んでいた事はある。しかし、いくらやっても上手くならない。特にシューティングゲームやアクションゲームなどの操作の難しいゲームは苦痛以外の何者でもなかった。

単純に手先が器用ではないのだろう。スーパーマリオブラザース、グラディウスゼビウスなどなどいくらやってもコントローラーの操作に悪戦苦闘してゲームの面白さを理解する事が出来なかった。

そんなある時、僕にも初めて楽しいと思う事が出来るゲームソフトが発売された。1986年私が12歳の事だった。

主人公を操り広大なゲームの中の世界を冒険するロールプレイングゲームドラゴンクエスト』が発売された。

このゲームの発売は買い求めるファンが発売日の前日からおもちゃ屋の前に行列をなす程の人気沸騰ぶりで社会現象にまでなった。わたしもマイペースで進める事が出来操作も簡単なこのゲームの虜になった。

ゲーム開始直後は裸同然で何の力も無い主人公が、モンスターと呼ばれる敵と戦いながら、経験値を積み、お金を集めながら、武器や防具を買いそろえ、偉大な勇者として成長し、世界の平和を乱す悪玉を退治するのだ。私はこのゲームをしながら「僕もいつか世界の平和を守る勇敢な勇者になるんだ!」という崇高な夢を抱いていた。

そして、この大ヒットゲームは満を持して新作を発表する事となった。1988年、初代ドラゴンクエストから2年の月日を経て、『ドラゴンクエスト2 悪霊の神々』が発売された。新作の発売を心待ちにしていた中学2年生だった私は発売日に手に入れようと学校から帰るやいなや、この為に貯めたお小遣いを財布に押し込んで、隣町のおもちゃ屋に向かって冒険の旅に出た。

もうすぐで目的地に着こうかというその時、電柱の影から突如人影が現れた。「オイ、そこの中学生小遣い貸してくれんや〜。」時代は20世紀の世紀末、世の中にはヤンキーと呼ばれる不良達があふれ返っていた。その中の一部がドラゴンクエスト人気に目を付け発売日に買いに来た中学生を獲物にお金をたかりに来ていたのである。私は勇気を振り絞り、「お金げな持っとらん!」とその明らかに凶暴な不良高校生に向かって言い放ち、猛ダッシュでその場を立ち去ろうとした。しかし、その勇気は無惨にも打ち砕かれた。不良高校生は私を背後から襲撃し、ズボンの後ポケットから僕の希望の詰まった財布を抜き取り、自転車でその場を走り去っていった。
僕は追いかける事すら出来なかった。そして、その時僕のコンピューターゲーム嫌いは決定的なものとなった。

それ以降ドラゴンクエストは勿論いかなるゲームも私の興味を引く事は無く。35歳になる今までゲームとは無縁の生活を送っていたのですが、20年の月日を経て、大人になった私のこころを鷲掴みにするゲームが登場した。任天堂DSというゲーム機で発売された『DS眼力トレーニング』というゲームである。

内容と言うのは読んで字の如く、DSというゲーム機を使って、眼の力をトレーニングしましょうというもので、実際に医療やスポーツの現場で応用されているメソッドを用いて眼のもつ5つの能力『動体視力』『周辺視野』『瞬間視』『眼球運動』『協応動作』のトレーニングをしていくのだ。同様のトレーニングはパソコン用のソフトウェアとしては発売されていたのであるが、如何せん専門家向けというか価格的にも、販売経路的にも手に入れる事が難しかったのであるが、それと同様のトレーニングがゲーム機で行えるのである。

2005年の東京操体フォーラムで『目線について』というテーマで、眼球運動と身体運動の関連性について発表させていただいたまま放置されていた私の探究心が再びよみがえって来た。それではそのトレーニングの内容についても少々触れていきたいのであるが、それは明日の東京操体フォーラム実行委員ブログの内容にさせて頂きます。

ちなみに『ドラゴンクエストシリーズ』は未だに人気は衰えておらず現在では『ドラゴンクエスト9』までが発売されている。しかもこのソフトは現在LEVEL5という福岡のソフト会社が制作しており、その本社は私の整骨院のすぐ傍のオフィスビルに入居している。


秋穂一雄