東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

からだとの対話

6日目よろしくお願いします。
からだは脳と神経システムがからだ全体を支配しており、感覚を通してあらゆる情報を脳に伝え統合コントロールしていることが証明されています。
最近子供達がいろいろな動作に挑戦している姿を見て思うのですが、からだが感じ取る情報の量とは大人と子供では同じでしょか。きっと子供のほうが脳を活性化される情報量は多いのではないでしょか。
小さな子供だった頃、起き上がったり、転がったり、這ったり、立ったり、歩いたり、走ったり、自転車に乗ったりすることを学びました。はじめて挑戦する時には、ドキドキしたり、失敗したり、泣いたり、からだで感覚をおぼえながら成功した時には喜んだりしていたのが、いつしか出来るのが当たり前となり、自分のからだの動きに感動さえなくなっている自分はないでしょうか。
 きっと子供たちははじめてな事を通し、からだのあらゆる感覚を最大限に働かして活かしているからこそ、子供の回復力・治癒能力は高いのではないかと思います。そしてこの感覚を最大限働かしている結果が、脳の前頭前野の血流に繋がっている可能性も考えられます。最近この前頭前野のトレーニングとして脳トレーニング(脳トレ)がはやっていますが、からだの感覚を磨くことなく脳トレのみで脳の活性化に繋がるのかと思っていたところに面白い記事を見つけました。
英科学誌ネイチャーの報告では、18〜60歳の健康な1万1430人を三つのグループに分け、英国で販売しているゲームをもとに脳トレを1日10分間を週3日以上の6週間続けてもらい効果を調べたそうです。グループ1は積み木崩しなどを使った倫理的思考力や問題解決能力を高めるゲーム、グループ2はジグソーパズルなどを使った短期記憶や視空間認知力を高めるゲーム、グループ3は脳トレとは無関係のゲームを行ったそうです。結果は、脳トレを続けたグループでゲームの成績は向上したものの、倫理的思考力や短期記憶などを調べた認知テストは全グループとも差がなかったと報告しています。
脳だけをトレーニングしても効果に繋がらないということをあらわしているのではないかと思います。僕はからだの感覚を通して脳に働きかけないと脳トレの効果はでないのではないかと思います。子供の時のようにからだの感覚を活かして、臭覚、味覚、触覚、聴覚、視覚、動覚の感覚を使いながら感覚を感じる、感覚を聞き分けることが大切で、感覚を磨くことで快適感覚が聞き分けられやすくなり、また快適感覚を味わうことでさらに感覚を磨くことになり、本来人間が持っているからだの治癒能力・免疫能力の向上に繋がるのではないかと思います。
ありがとうございました。


佐助


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11月20、21日千駄ヶ谷津田ホールにて2010年秋季東京操体フォーラムが開催されます。
2010年8月、社団法人日本操体指導者協会を設立しました。