東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

三浦 寛幸(みうら ひろゆき)

「うらとおもて7 ~共に生きるもう一人の人格者~

本日で最終日になりますが、最近は人体における裏と呼ばれる部位に注目しています。 例えば手掌や足の裏と呼ばれる部位。 これらには臨床における重要なヒントが隠されているようにみえます。 筋肉の圧通膏血だけでなく皮膚の柔軟性や色、体温を診るだけでも…

「うらとおもて6 ~生かしてくれているものの変化を診る~

昨日のブログの補足になりますが、操体の臨床における施術者が見るべき患者の変化は動きと呼吸、そして意識と感覚です。 この4つの変化が同時相関相補し合う関係にあり、ひとつの変化すれば他の3つも時間の経過と共に変化するという捉え方です。 これらは…

「うらとおもて5 ~からだからのメッセージ~

先日、長年操体の臨床を受けている知人に施術をしました。 彼女は臨床の後にこんなことを言っていました。 「最初(当時)は足を揉んでもらっても、首に触れられても、何をしているのか分からなかった」 「でもいつか電車の中で少しの時間手を揉んでもらった…

「うらとおもて4 ~痛みからのメッセージ~

臨床の世界に足を踏み入れてから「痛み」というものは一体何なのかをずっと問いかけています。 最近の臨床でも痛みはからだの様々な情報を被験者と操者に教えてくれることを実感しました。 そのわかったこととは 痛みとはからだの意志から発せられるものであ…

「うらとおもて3 ~背面から見るからだの動き~

操体の講習では実技、そしてからだを背面から見ることが多かったように思います。 現在になって考えてみると、背面からの世界は人がどのようにからだと向き合っているのかを教えてくれるということも理由のひとつであったように感じています。 いつもブログ…

「うらとおもて2 ~からだの意志と意識~

日々からだと向き合っているとからだにも意志と意識があるように感じています。 例えば「歩く」という動作を細分化してみる。 左足を一歩を踏み出すという自分の意識と同時に右足の踵は自ずと浮く。 そして両膝の裏筋が自ずと緩む。 そんなことをいちいち本…

「うらとおもて1 ~からだからのメッセージを受け取るために~

三浦先生、一週間ありがとうございました。 本日から三浦寛幸が担当致しますのでお付き合い下さい。 今回のテーマは「うらおもて」となります。 先日臨床の中で疑問に思ったことがあります。 からだの「表と裏」ではなぜ筋肉や皮膚の厚み、そして表情が異な…

「環境の自然とからだの自然 ~その7~」

本日で最終日になりますが、私がこれまで操体の学びの中で掴んできたことは「学び方」であったのだと現在強く実感している。 その学び方とは積み重ねていくことではなく、これまでの自身の思考や癖を削ぎ落していくことでもあった。 その中で変わってきたの…

「環境の自然とからだの自然 ~その5~」

からだには幾つかの山と呼べる部位があります。 例えば肩甲骨、胸椎12、母指球。 これらの山はからだの動きにおいてとても大事な役割を果たしています。 それらを上手く使えないと谷となる部位には圧通・膏血が生じる。 つまりからだそのものは自然と同様…

「環境の自然とからだの自然 ~その4~」

自分が意識しなくても自ずと呼吸がからだが必要としている分だけ自然に入ってくる。 自分が意識しなくてもからだが調子のよくない部位を教えてくれる。 自分が意識しなくてもからだが必要な食事を教えてくれる。 自分が意識しなくてもからだが物事の判断をし…

「環境の自然とからだの自然 ~その3~」

よく「自然体」という言葉を使いますがこれは一体どういうことなのかを考察していきたい。 一般的には 気負いのない、自然な態度 無理のない形で立った姿勢 とありますが、いまいちピンとこない人も多いようです。 以前によく聞かれた「ありのまま」という言…

「環境の自然とからだの自然 ~その2~」

最近は「自然が形成してきたもの」と「からだ」を重ねてみるようになりました。 自然が作り出してきた姿、形は生き物と同様に地球という環境に適応してきた結果のものであり、何らかの意味があるように思います。 地球という命の意思の下、そこに生きる生命…

「環境の自然とからだの自然 ~その1~」

三浦先生、ありがとうございました。 今週から三浦寛幸が担当致します。 今回のテーマは「山」です。 これまで山には縁がない生活でしたが、20代の前半の夏に一回だけ富士山に登ったことがあります。 そこでの思い出はとにもかくにも「きつかった」ことです…

「自然から学ぶ ~その7~」

本日で最終日になります。 このテーマを頂いてから海に関わる様々なブログを読んできましたが、そのほとんどの人達は海に対し「なつかしさ」や「癒し」というものを一つの感情として抱いているように見える。 その要因は私達の遠い祖先の記憶や長い年月をか…

「自然から学ぶ ~その6~」

からだに潜む圧通・膏血は色々な形があり最近注目している。 球状のものや筋張ったもの。時にはゼリー状のものもある。 それらは主に首や背中、膝の裏筋、足の裏等にあり、動き、呼吸、心の状態で様々な形に変化し、からだのバランスをとってくれている。 そ…

「自然から学ぶ ~その5~」

もし海や空気に最初から色があったのならば・・・ 人は自身を生かしているものに対し本当にありがたいものだと思えなくなる。 色がないからこそ向き合い方が問われる。 快もそれらと同じで無色無形のものだかこそ本当にありがたいものとして受け取ることが出…

「自然から学ぶ ~その4~」

もう10年以上前になるが私が実行委員になった頃に三浦先生が皆に問いかけたことがある。 「皆は快に対してどんなイメージを持つ?」 ある実行委員は 「海ですね」 また別の実行委員は 「(快からのメッセージの表紙のような)螺旋のイメージ」 当時の私にと…

「自然から学ぶ ~その3~」

水の中に身を置く中で不思議に思っていることが一つあります。 雑念が消え感覚が研ぎ澄まされるということです。 呼吸を止め、水とその流れに身を置く世界では自分とからだが一つになるような不思議な感覚になる。 そして自身を取り巻く環境が鮮明に見えてく…

「自然から学ぶ ~その2~」

昔から海には不思議な力があると何となく感じていました。 人のからだを癒すことやからだの本来持ち合わせる感覚を取り戻すために必要な力が海にはあるように感じています。 実際、治療にも使われているのだから間違いのないことだと思えてなりません。 特に…

「自然から学ぶ ~その1~」

三浦先生、一週間ありがとうございました。 今週からは三浦寛幸が担当致しますのでお付き合い下さい。 今回のテーマは「海」になります。 久しぶりに湘南の海を観てきました。 湘南新宿ラインの辻堂の駅から30分程歩いていると辻堂海浜公園が見えてくる。 そ…

「治癒7 ~自己責任~」

本日で最終日になりますが、時代の流れもあり現在の人々は自身のからだの状態を自分で判断することが出来なくなっているように思います。 現在コロナ第七波が訪れ、日を追うごとに感染者数が増え医療機関がパンクしている現状だと聞きます。 これらを目にす…

「治癒6 ~うつわにいれるもの~」

操体を学んできて良かったと思うことの一つが自力自療が出来ることです。 風邪や熱が出る前のからだの変化は呼吸と動きが教えてくれる。 その流れと循環が滞っていると何らかの症状が顔を出す。 それが結果的にからだの歪みとなり、その歪みを取っていくこと…

「治癒5 ~臨床の空間にあるもの」

からだの自然治癒力を引き出すために臨床家として必要なことがあります。 一つはからだの意識とからだの無意識、そして患者自身の意識を識別することです。 この3つの世界の違いをしっかり認識し、結果的にからだの無意識が発揮する自然治癒力へと導くこと…

「治癒4 ~快を受け取るために~」

人が生きるために命あるものを頂くのと同じように、からだの自然治癒力に必要な「快」もこの空間から頂いているように感じています。 今まで快の捉え方としては動きや呼吸の中でからだの内側から自発的に生み出しているものではないかと思っていました。 し…

「治癒3 ~自然治癒力を高めるために~」

からだの自然な治癒力の個人差は一体何によって生じるのかと考えていました。 例えば同じ位の年齢で同じような体格、そして症状をも似た2人でも片方の人は治るのに膨大な時間がかかるのに対し、もう片方の人は瞬時に治る人もいます。 人に個人差、個体差が…

「治癒2 ~からだと意識を繋げること~」

これまで操体の臨床を通じて何度か信じられないようなからだの治癒力を目にしてきました。 ずっと立てなかった年配の人が急に立てるようになったり、歩行困難の人が歩けるようになったり、うつ病が改善したこともあります。 なぜそのような現象が起こるのと…

「治癒1 ~自然治癒力~」

三浦先生、ありがとうございました。 今週からは三浦寛幸が担当致しますのでよろしくお願い致します。 今回のテーマは「治癒」です。 最近では「治療」という言葉をあまり使わなくなりました。 その理由の一つに臨床の中でからだを治すことではなく、からだ…

「環境に適応していくために 7」

「本日で最終日になりますが、今回のブログを書きながら「なぜからだは歪みを作るのか?」ということを考えていました。 今まではずっと息・食・動・想の4つの命の営みのバランスが崩れた結果がからだに歪みを作っていると認識していたのですが、最近はまた…

「環境に適応していくために 6」

からだの学習を重ねていく中で最近変わってきたことがあります。 それは臨床空間と生活空間の境界線が消えてきたことです。 今までは仕事に入る時のようなスイッチを入れて臨床に望んでいましたが、そういったことをしなくても自然に臨床に入ることが出来る…

「環境に適応していくために 5」

先日からだを診させて頂いた方が面白いことを言っていました。 「雨や台風が来る数日前から体調が悪くなる。そして当日になると首と膝が痛くなる。 痛くなると分かっているのに対処の仕方がわからない」 その患者は一年前から知っている方ですが、確かに天候…