東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

見極める

私の血液型はA型である。あまり血液型占いというものは好きでは無いが、A型男子で検索してみると、「何事にも細かく計画を立てて慎重に行動する優柔不断で石橋を叩いて渡るタイプ」と書いてある。細かく計画を立てて慎重に行動するというのは微妙だが、優柔不断というのは決して外れてはいない。二者択一を迫られると非常に弱いのだ。食後のデザートにケーキとフルーツがありますが、どちらにされますか?と聞かれるとつい「両方!」と答えて思わず食べ過ぎてしまうタイプなのである。しかし私の特技のひとつに「とにかく美味しそうにご飯を食べる」というのがある。私は味覚のねじが少々緩いのか何を食べても美味しく感じられる。これは一緒に食事をする人にはだいたい褒められる。私自身は本当に美味しいと思って食べているので褒められると反って恐縮してしまう。でも何でも美味しく感じられるというのは結構幸せな事だ。良く「健康の為に動物性のものは一切口にしません。」と言われる方がおられるが、これは何となくもったいない気がする。橋本先生が肉を食べたらその倍の野菜と4倍の雑穀類を食べると云う事が、自然法則に適った食事の仕方だと言われている様に「からだに悪いから絶対肉を食べるな。」とは書いていない。一週間に一回くらいは美味しいステーキを食べる楽しみは残してくれている。だいたい肉食草食に関係なくみんなそれぞれのイノチをわが身に頂いて私達は生かされているのだから、こいつはからだにいい、こいつはからだに悪いと勝手に決めつけてしまうのは良くない。なんでも有り難く頂戴するべきだ。

今回は頭っから脱線してみた。ここからが本題。「見極める」私達の生活の様々な局面において見極めなければならない時というのが起こってくる。治療家という職業を生業にしている私達にとっては、見極める(診断する)というのは死活問題にもなりかねない生活必需品である。診断といえば昨年の7月10日の三浦理事長のブログにも書かれているが、理事長の診断には度肝を抜かれる。操体の診断は視診・触診・動診と言われるが、眼を凝らして良く見ても、見ても触れても動かしても無いのに、歪みの部位を的確に捉えているのだ。膝窩の圧痛・硬結は勿論、いつぞやは私の額にある歪みの存在を私がトイレに行っている隙に見つけられていた。本当にわからない事だらけである。(フォーラムに参加された事がある人なら三浦理事長の摩訶不思議な診断法をご覧になった事があると思います。)「よしそれなら僕もと!」と見よう見まねでやっては見るが、ただの当てずっぽうではやっぱり上手く行かない。やはり患者の持つ何らかの情報が理事長の琴線に触れることにより診断が成り立っているのであろう。

私達実行委員は常に三浦理事長を手本とし、少しでも理事長の感性に近づきたいと想い操体を学んでいる。しかしこれは何も操体の臨床だけに留まらず日々の生活の中においても、三浦理事長ならどのように考えるのか、どのように行動するのかを意識していくことで、自分自身の感性を磨き続けていく必要性があるように思う。始めのうちは猿真似でも構わないと思う。スポーツや武道の練習がそうである様に、理想のフォームをイメージしながら反復練習をすることで、それが型となり自分自身の技術へとつながり自分自身の感性を磨いてくれるのだと思う。そういえば三浦理事長がこんな事を言われていた。「感性を磨く為に、本当に勝ちのあるものに触れて見る目を養う事が大事なんだ。美術品でも装飾品でも、本当に良いものに触れると、その良さは細胞が記憶して決して忘れることはない。そして一度良いものを知ると、それ以下のものには見向きもしなくなるんだ。」やはり感性を磨く為には一流のものを知るという事から始めなければいけないようである。そうやっていく中で自分自身の見極める力が養われて来るのであろう。


秋穂一雄


新刊情報:皮膚からのメッセージ 操体臨床の要妙Part Ⅱ(三浦寛著)、たにぐち書店より発売。 
11月20、21日千駄ヶ谷津田ホールにて2010年秋季東京操体フォーラムが開催されます。
2010年8月、社団法人日本操体指導者協会を設立しました。