教科書で名前は知っているものの、源氏物語を解説付きでしっかり読んだことがある人は、現在そんなに多くはないのではと思う。
周囲の人達に「源氏物語」って、マンガでも映画でも何でもいいから、読んだこととか、見たことある?と聞いても「読んだことない」という人が圧倒的に多かった。
源氏物語に限らず、人物の相関関係がわからないために、なかなかとっつきにくい古典は多い。私も「古事記」は口語訳やコミック、日本書紀はコミックで読んだ。しかし、ちゃんと家系図とか誰がどんな人物なのか、というのがわかれば、結構面白い。

- 作者: 小池一夫,井上紀良
- 出版社/メーカー: 小池書院
- 発売日: 2008/07/10
- メディア: コミック
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (3件) を見る

- 作者: 小池一夫,井上紀良
- 出版社/メーカー: 小池書院
- 発売日: 2005/03/30
- メディア: コミック
- 購入: 3人 クリック: 11回
- この商品を含むブログ (3件) を見る

- 作者: 三浦佑之
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/12
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 55回
- この商品を含むブログ (29件) を見る

- 作者: 松岡正剛
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2006/12/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 25人 クリック: 162回
- この商品を含むブログ (139件) を見る
私は高校時代、古典が苦手だったので「源氏物語」という名前だけは知っていた。つまり、全く興味がなかったのだ。しかしある時、源氏物語そのものではなく、どんな人物であるとか、どういう関係だとか、歴史背景や宮中の行事を中心に説明した本を読んで「へえ」と思った。白状すると、半分以上はコミックの類だが、これが結構面白いのである。
いずれにせよ、日本が世界に誇る「愛の物語」だ。
第一部:数多の恋愛遍歴を繰り広げながら人臣最高の栄誉を極める光源氏の前半生
第二部:愛情生活の破綻による無常を覚え、やがて出家を志す光源氏の後半生と彼をとりまく子女の恋愛模様
第三部:源氏死後の子孫たちの恋と人生
まず、この時代は通い婚だった。女性も財産を持つことが許されていた。また、この時代は戦争が起こらなかった。通い婚という習慣があったため、殿方は恋愛に忙しく、戦をしているヒマがなかったのだ。女性のところに通うにしても、まずはあらかじめ根回しが必要である。今夜行きますから、戸が開くようにしておいて下さい、とお付きのものにも伝えておかなければならない。
いざ目的を果たして朝がくると、夜が明ける前に退出し、戻ったら「後朝の文」(きぬぎぬのふみ)という、ラブレターを女性に書かなければならない。この文にセンスがなかったりすると、バカにされてしまう。そのため、後朝の文専用のゴーストライターもいたようで、とにかく殿方は忙しかったのである。
面白い?ルールとしては、基本的に殿方は姫の顔を見ることはできない。あの姫はキレイだとか、見目麗しいという噂などに頼る。また、姫様は殿方に寝所の御簾の中に入られてしまったら、関係を持ってもしかたないというルールもあったらしい。三分間ルールみたいだ。
そして、源氏物語が、何故こんなに日本人に愛されるのかを考えてみた。
セレブ(帝の王子様)と、母への慕情、義母との許されざる恋なんだろうな、と思う。もう一つは、年若い少女を拉致同然に連れ去り、自分の好みに育てるという「禁断シリーズ」二本柱に当てはまるからなのかもしれない。
ティーンズコミックの「禁断シリーズ」の主人公の相手は大抵は「お兄ちゃん」である。「お兄ちゃん」がこんなことするなんて、と、主人公はめそめそするのだが、やがて愛欲の世界に(笑)というのがそのおおよその筋書きだ。しかし、流石に「最後の一線は越えない」というのがコミックである。あ、脱線。
源氏の君はマザコン(桐壺の更衣は、帝に寵愛されていたが、他の妃の嫉妬やいじめを受けて源氏が3歳の時亡くなる)、更に亡き母、桐壺の更衣に生き写しの藤壺(前の奥方にそっくりな先代の帝の娘)を慕う。慕うのならまだしも、藤壺のところに通い、寝所の御簾の中に押し入り、やがて王子が生まれてしまうのだ。
桐壺の帝は、源氏と藤壺の間の子とは知らずに、大事に育てるのである。マザコンで、義母と通じて子をなしてしまったわけだ。
桐壺帝は優しい方で、その皇子を抱きながら、源氏に「あなたにそっくりですよ」と言う。
★ちなみに、後に源氏自身も妻、女三宮が不義の子(薫)を生むという目に遭う(因果応報?)
その後、桐壺帝は亡くなり、藤壺は出家してしまう。いくら源氏でも、出家した女性には手を出せない。
その後、病気療養していた源氏は、藤壺の姪である紫の上(まだ幼い)をいわば略奪し、自分の理想の女性に育てる。そして自分の妻にしてしまうのである。
源氏の正妻の葵の上は、六条御息所(ろくじょうみやすどころ)の生霊に取り殺されてしまう。この辺りは女の嫉妬の恐ろしいところで、クライマックスの一つでもある。
源氏はその後紫の上と初床を迎える。それまでは、まるで優しい兄の如く、添い寝してくれていた源氏の君が、突如「男」となったのは相当なショックに違いない。物語には、紫の上が朝になっても不機嫌で起きてこない、というようなことも書かれているのである。
マザコンで、義母と通じ、義母の姪を略奪し、自分のモノにすると、こう書いてみると結構とんでもない輩だが、関係した女性達は誰も光源氏のことを悪く言っていないのである。それは多分、どの女性に対しても、ピュア(?)な気持ちで接していたからなのだろうか。
末摘花(すえつむはな)は、源氏が関わった女性の中でも、不美人(ハナが大きくて赤い)だと書かれている。古風で堅苦しくて、気が利かないので源氏に「一緒にいて恥ずかしくなる」とまで言われるが、それは純真な心の裏返しで、源氏も感動し、晩年は妻の一人として迎えたと書かれている。
不美人でも源氏はちゃんと面倒をみるのである。そういうところも源氏のモテる原因なのだろう。
なお、とっつきやすいのはやはりコミックだろう。

- 作者: 大和和紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/04/25
- メディア: コミック
- 購入: 2人 クリック: 10回
- この商品を含むブログ (35件) を見る

- 作者: 紫式部,江川達也
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2001/10
- メディア: コミック
- 購入: 2人 クリック: 23回
- この商品を含むブログ (24件) を見る

- 作者: 葉月つや子
- 出版社/メーカー: ぶんか社
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (2件) を見る