東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

楽と快の違いで起こること(2)

日本統合医療学会北海道支部会では、東日本大震災被災した避難所で音楽療法を行った事例を発表していました。奇しくも私の父方に縁が深い、宮城県気仙沼市の階上(はしかみ)中学校の体育館で行ったのだそうです。その次は私も10年以上お世話になっているプラセンタを使っているドクターの話がありました。響きの森クリニック院長の西谷先生は、プラセンタにツボ注射をされているようですが、私が長年お世話になっている東京のクリニックでも、先生がツボ注射をされていました。
プラセンタ注射をしていると、献血ができないとか(これは事実)、ホルモン療法は怖いとか(何でもコワいっていう人、いますけどね)、色々な誤解があるようですが、元々は漢方薬であり(紫荷車:しかしゃ)、1950年代から使われているものです。女性ホルモンは加水分解してあるので、男性が注射しても大丈夫です。また、120度の高温で長時間殺菌されているそうです。
西谷先生のところでは、更年期障害(特にホットフラッシュ)に効果をあげているようです(婦人科)。もともとヒトの胎盤なので、自然と言えば自然であり、漢方の注射だと思えば納得です。

その後は「温泉療法」の研究を続けておられる北海道大学大学院の大塚先生の「温泉とその健康づくりへの応用」という発表がありました。面白かったのは、浴槽の大きさが大きいほど、体温を保つ効果があり、なおかつリラックスするのだそうです。我が家は徒歩3分のところに銭湯があるので、よく銭湯に行きます。家族がぬるいお湯が好きなのと、シャワーで済ませる傾向があるので、広くて熱いお湯に入りたいのです。銭湯には「ゆる湯」もあるので、ペットボトルを持ち込んで水を飲みながらぬる湯に入ることもあります。いずれにせよ、一度銭湯の大きな湯船に慣れてしまうと、家の風呂が何とも味気なくなってしまう理由に納得しました。
ちなみに、地方の方が東京の銭湯に入ると熱くて驚くそうですが、東京の銭湯でうめ水を出し続けると注意されます(笑)。

ここで既に時間が一時間ほど押していたのですが、その後に私達の発表となりました。タイトルは「陽の時代から陰の時代へ 進化する操体」です。私が前半スライドを使っての発表、後半は三浦先生が操者、私が被験者役で、第1分析と第2分析の違いの実演です。

これが当日の抄録です

陽の時代から陰の時代への転換期  進化する操体

東京操体フォーラム  理事長 三浦寛 常任理事 畠山裕美

操体法には五つの特徴がある。
1.人体の構造を動かして診る、動診法を導入し、動きの感覚を重視している。
2.治すことまで関与せず、からだの自然治癒力を引き出している。
3.その為に他力的な刺激や、暴力的な力を与えず、快感度を伴う本人の自力の動きによって症状疾患の改善を図る。
4.運動系の歪みに着目し、症状疾患にとらわれない臨床を行っている。
5.常に生体のバランス制御を考えている。
からだにとって、最少エネルギーで最大の効果をもたらすかである。それが、からだが要求し、選択してくる「快適感覚」である。その快に従うということが、生体のバランス制御に繋がり、命の意志に従っているということである。その選択は、からだにとって正しい方向性なのである。
何故ボディが歪むのか。それは、環境を含む息食動想の四つの営み(自己最小限責任生活必須条件)の生命力学のバランスが関与しているからである。
昭和初期、操体の創始者、橋本敬三医師(1897年−1993年)は、正體術という骨格矯正法に出会った。これは体を楽な動きの可動極限にまで操り、瞬間急速脱力をもって骨格系の歪みを正すものであった。時を経て、橋本敬三医師独自の哲学が加わり、操体が誕生した。そして、橋本医師が85歳を迎えた時、「楽」への問いかけから「快」への診断と操法への移行が打ち出され、4年の歳月を経て弟子の一人によって体系化された。これを第2分析としている。この分析法は、一つ一つの動きに「快」をききわけていく動診と操法である。
しかし残念ながら一般はもとより、未だ多くの臨床家が快を認識しておらず、楽と快の混同、混乱が起きている状態にある。本日は前半を畠山による操体概論とし、後半を橋本敬三医師の直弟子であり、第2分析を体系化、確立させた三浦による実技とする。

操体の5つの特徴、テストに出るかもしれません(笑)



札幌ではなく、9月に訪れたトレドの大聖堂の回廊

2011年秋季東京操体フォーラムは11月6日(日)、東京千駄ヶ谷津田ホールにて開催予定です。