コンチクショウ!
一方で、最初は好きでもない事だったが、それしかなくて必死で生きて、一所懸命となって一代を築かれた人がいる。
「すきやばし次郎」の小野二郎さんである。
「コンチクショウって気持ちなんでしょうねえ。割烹旅館へ奉公に入った時から周りは大人ばっかりで、自分はずっと下っ端だったでしょう。学校ではガキ大将でも仕事ではやられっぱなしで、理不尽なこともそりゃあたくさんありました。だからいつか上から見るヤツを見返してやるって、それはずっと思っていたから。」
宇佐美伸「すきやばし次郎鮨を語る」より
このエネルギーに貫かれた人生は「快」だろうな。
孔子は、「之を知る者は之を好むものに如かず、之を好むものは之を楽しむものに如かず」という言葉を遺した。
きっかけは何であろうが、一人の人間が肚を据えて一芸に専心すると、深さにきりがなくなる。そして、品がある。
山野真二