東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

第一分析

 三日目は、「楽な方向、動きやすい方向に可動極限まで動かし、2〜3秒たわめて(動きをとめる)瞬間急速脱力させる」これを第一分析と呼んでいます。本日は第一分析の機序について書きたいと思います。よろしくお願いします。
 第一分析での動きは、前後・左右のように、二者択一的に動きを比較対照します。そして、動きやすい楽な方向に対して、可動極限まで動かし、2〜3秒動きをたわめたのち、瞬間急速脱力させます。このように、楽な動きを利用しておこなう「動き」を中心としたアプローチとなります。
 第一分析の機序は、からだを楽な方向、動きやすい方向に可動極限まで動かすという随意運動は、大脳皮質運動野から錘体路という下行性伝達路によって、素早く情報が脊髄前角まで下行し、α運動ニューロンで筋へ伝えられ骨格筋が収縮し、からだが可動極限まで動くという随意運動動という動きになります。そして動きの可動極限で2〜3秒たわめて瞬間急速脱力することで、筋肉の主動筋と拮抗筋が弛緩します。これは骨格筋が等尺性収縮しつづけた興奮状態の情報が?a線維で脊髄後角に入り、脊髄後角から脊髄前角に伝えられる際に興奮が抑制されます(レンショウ抑制または反回抑制)。この抑制された効果が再びα運動ニューロンで骨格筋に伝達された 結果、筋肉が弛緩するということになります。

 第一分析では脊髄と横紋筋系、骨格筋の間で筋が抑制する原理を利用しているため、筋緊張を即効的に緩め、圧痛硬結を瞬時に解消するという目的には大きな効果が生まれやすいことが考えられます。ただし、その効果には限界があることが推測されます。理由は脊髄を介しての反応・効果にとどまる可能性が示唆されるのです。
 第一分析の効果・反応を理解し、目的にあったことに対して行うことができれば、からだは素直に反応を示すはずです。ただし、操者が「気持ちよく動いて」、「気持ちよさを探して」という問いかけをおこなうと、からだや動きだけでなく感覚受容器にまで混乱させてしまうことが考えられます。
 「楽の動き」は「意識の動き」であり、「快の動き」は「無意識の動き」であり、それぞれ大きな違いがあり、「楽」と「快」について我々操体を学ぶ者が理解・区別できていないと、クライアントのからだは混乱した反応となるのは必然だと思います。「楽」によるからだの反応と「快」によるからだの反応は、それぞれことなる反応となるのですから・・・。
 今日はこの辺りで・・・。ありがとうございました。