東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

日常生活における「動」

今日は「動」に関して、操体を学んでから変化したこと、
意識するようになったことなどについて話していきたいと思います。


操体では、正しいからだの使い方(身体運動の法則)を説いています。
1つは、重心安定の法則。これは、骨盤を要としたからだの使い方のことで、
手は小指(尺骨側)を、足は第一趾を効かせるというものです。
もう1つは、重心移動の法則。これは、からだの動かし方のルールであり、
8つの動き(前屈・後屈・右側屈・左側屈・右捻転・左捻転・牽引・圧迫)、
そのそれぞれの動きが骨盤を介して、全身へと連動していくのに必要なものです。
そして、この2つの法則をグッと集約したものが「般若身経」です
(これは、橋本先生が、仏意を集約した一番短い経典である『般若心経』に
なぞらえて命名されたものです)。8つの動きを立位の状態でからだに通し、
本来の動きをからだに学習させます。その際、注意すべきは、末端(足)から
動作を開始するということです(動きを通す前にまず、基本となるポジションを取ります:
両足の内側の幅が骨盤の幅と同じになるように開き、右利きであれば左足を半歩前に出し、
やや内側に向ける。それから骨盤が正面を向くように修正し、膝を軽くゆるめる)。
般若身経は、運動する以前のからだの使い方であり、これをもとに私たちは運動をすることになります。
身体運動の法則に従ったからだの使い方が身に付くと、動きが綺麗になる、
運動をしても疲れにくくなるなどいいことが盛りだくさんです。


私も般若身経を学んでから、鏡を見ながら綺麗でスムーズな動きになるまで毎日からだに通しました。
今でも、時々鏡を見ながらチェックをしています。8つの動きが全て入っているので、
普段の生活でも意識することができます。例えば、高い所に手を伸ばすとき、
落ちているものを拾うとき、車をバックさせるのに後方を確認するとき(女性が
グっとくる男性の仕草でよく言われる、助手席の背もたれに手を回すあれです)など。


また般若身経だけでなく、モノに手を伸ばし掴むときは小指(尺骨側)を意識したり、
力を入れるときは足の第一趾の付け根(MP関節)に重心を落としたり、といった意識も
自然と生まれるようになりました。すると、からだの方も変わってくるもので、操体
学び始めてから身長が1cmほど伸びました。もう30も半ばなので実際に身長が伸びたわけではなく、
姿勢が良くなっただけなのですが。もともと猫背だったので、それが改善されたんですね。
今でもやや猫背気味なので、もうちょっと身長が高くなるかと期待しています。
とは言っても、もはや夢の180cm超えは叶いませんが・・・。