東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

臨床はテクニックだけで成り立つ?

私たちが生きていく上で、他人に代わってもらうことのできない営みが4つあります。
それは、呼吸(息)、飲食(食)、身体運動(動)、精神活動(想)の4つです。


これらのバランスがうまく取れていると健康でいられます。ただし、これらのうち
どれか1つでも落第点を取ってしまうと、残りの3つもそれに引っ張られてしまいます。
逆に、バランスを取り戻すときは、どれか1つでも及第点に達すれば、それが残りの3つを
及第点へと引っ張り上げてくれます。これを同時相関相補連動性といいます。


4つの営みが常に100点である必要はありません。これは大変です。
間に合っていば(60点・及第点を取れていれば)いいのです。
操体法では4つの営みのうち「動」の部分に関して、60点に届くようサポートします。
しかし、それだけで十分かというと必ずしもそうではないのです。


私は特に、想(精神活動)の部分が大きなウェイトを占めているように感じています。
からだが変わってきても、本人の意識が変わらない限り、また同じ痛みをからだに作り出してしまいます。


操体というと、操体法、いわゆる臨床の部分に目が行く方がほとんどだと思います。
臨床で活かしたいと。私もそうでした。テクニックを身に付けて開業したいと。
でも今では、それだけでは臨床において十分な結果を得られない気がしています。
操体を学ぶことは、臨床を通せるテクニックを身に付けることではなく、
臨床を通せる人間になること、からだと向き合ったときに「こいつになら委ねて
みてもいいかな」と思ってもらえる人間になることなんだと今は感じています。


明日からは、操体を学ぶようになり日常生活で意識するようになったことを
「息・食・動・想」と絡めてお話ししていきたいと思います。