東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

操体は実技だけ習得すればいいのか?

講習ではまず、操体の理論について勉強します。
操体の世界観や発病までのプロセス、そして治癒までのプロセスなど。
操体操体法のみで成り立っているわけではありません。
操体法はあくまで操体の一部(臨床の部分)なのです。


理論を学んだあとはいよいよ実技に入ります。

実技といっても操体法は揉んだりほぐしたりはしません。8つしかないからだの動き
(前屈・後屈・右捻転・左捻転・右側屈・左側屈・牽引・圧迫)、それを手および足という
からだの末端部分から患者に動きを表現してもらい、快適感覚の有無をからだに
聞き分け(診断)、聞き分けられたらそれを味わう(治療)というプロセスをたどります。
快適感覚をからだに聞き分け味わうのは患者本人です。これが操体が自力自療たる所以です。
操者はそれをサポートする役割を持ちます。からだの末端から動きを表現していくと、
その動きが全身へと連動していきます。その連動を促すために必要な介助・補助、
そして言葉の誘導があり、操者はそれらをマスターしていなければいけません。
介助・補助、言葉の誘導の具合によって患者の快適感覚の聞き分けが違ってきてしまいます。
ですから、しっかりとした介助・補助を身に付けるのが私の最大の関心事でした。
段々と講習の回を重ねるごとに正しいからだの使い方(身体運動の法則)が身に付いてきて、
形も様になってきます。傍から見てキレイな場合、上手くいっていることが多いんです。


今でも、そういった臨床の部分への興味が強いことは確かですが、
最近は臨床だけに留まらない操体の世界にも目が向くようになってきました。
私は1年目の講習が終わる前に、2年目も引き続き受講することを決めました。
操体法の実技も1回習ったからといってそれで十分というわけではなく、
回を、月日を、重ねるごとに研ぎ澄まされていきますし、何より臨床の部分だけを見ていては
操体を理解することはできません。また、時間を掛けて学んでいくということは、
それだけのものを学んでいるということであり、よく目にする「○ヶ月で開業できる」
などというのはどうやったら可能なのだろうと不思議に思います
(「“からだ”を診る」ということをしないなら可能かもしれませんが)。


明日は操体の臨床以外のどういった部分に目が向くようになってきたかをお話ししていきたいと思います。