東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

快適感覚

 六日目よろしくお願いします。
 皆さんの住んでいる周りにも○○療法や○○疾患に効果があると掲げている所は数多くあり、それぞれの所でいろいろの方法があるようです。手技の方法の数も沢山ありすぎて数えられないくらいあるのではないでしょうか。沢山の治療手技があるのも、痛みの治癒が遅延化している患者さんが数多くいるからではないでしょうか。
 痛みの治癒遅延化している原因が、脳内の知覚経験による痛みであったり、痛みに対する記憶や、脳内の血流変化が原因であった場合、臨床家の方々はどのようにアプローチしているのでしょうか。
 僕も昔は、痛みの原因は本当に治療している部位なのか所見テストと照らし合わせながら悩んでみたり、炎症のある部位を触っていることで炎症を悪化させることにならないか、受容器をさらに興奮させていることにならないかと悩んでいました。これらの悩みは、操体を通し操体法を学ぶことで解決されたのです。
 操体法では痛い部位に触れるわけでもなく、快適感覚の有無をからだに聞き分け、からだの要求にしたがって十分に味わってもらうことで、第三者が治すことまで関与しなくても気持ちよさがからだを治してくれるのです。
 操体に出会う前はいろいろな手技をみてきましたが、動きの感覚である深部感覚や皮膚感覚である表在感覚といった感覚から臨床を通す手技はないのではないでしょうか。
 感覚を統合するのは脳です。からだの動きや情動・記憶など、すべては脳に関係しています。からだの感覚を聞き分け快適感覚を味わうことで、脳内における快楽物質であるβエンドルフィンなどのホルモンが分泌されたり、さまざまな効果が期待されます。だからこそ第三者が治すことまで関与しなくても気持ちよさがからだを治してくれるのです。
 快適感覚を聞き分け味わうのは患者さんのからだであるが、我々操体を学ぶものは「質の高い快適感覚」を患者さんのからだに聞き分けていただくための方法を知っていなければならないのではないでしょうか。介助の方法だけでなく、皮膚への接触のしかた、言葉、呼吸、第三者の意識を含めすべてが快適感覚の質に影響がでてくるからこそ、見様見真似や方法だけを学ぶことができないのです。だからこそ操体の学びに妥協は許されず、ひとつひとつの学びが操体に繋がって治療効果に結びつく喜びを感じています。操体という学びと通してイノチ・生命感という奥深い学びに繋がっているような気がします。

 ありがとうございました。