東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

祇園精舎の鐘の声

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」お馴染み平家物語の一節ですが、現在視聴率10%前後をウロウロしているNHK大河をうたっている様にも感じ、何とも盛者必衰の理をあらわしています。

NHK大河一般人ウオッチャーとしては、昨年よりも酷い大河は無いだろうと見ておりましたら、ど〜やら一般的にはウケが余り宜しくない様で、視聴率も過去最低の花の乱へと一歩ずつ確実に近づいているようです。
ただ個人的に今回の大河を考えると、私はある意味NHKに拍手を送ってあげたいと思っております。ある意味とは、視聴率がとれる番組を考えれば昨年の様に戦国時代を取り上げれば、内容さえ悪くなければ、そこそこの視聴率はとれるのです。そこを敢えて視聴率の一番取りにくい時代をチョイスした、そのドンキホーテ的チャレンジャー精神に拍手を送りたいと思っているのです。
ただ、その割に初っぱなから画面が汚いやら、暗い!登場人物の相関関係がわかりにくい!など外野から文句を言われると、慌てて途中から画面を明るくしたり、見苦しい位にテロップを増やしたりと、すぐ腰砕けになり最初の意気込みはどうしたのかとガッカリしました・・・
ど〜せ、視聴率など関係なくふんだんに予算を使えるNHKなら、最後まで初志貫徹で、汚い画面は演出だ!カメラの性能も良くなってんだよ!とか、相関関係が分からないなら自分で勉強して日曜20:00を待て!位の高飛車振りを発揮しても良いのではと思います。
そもそも、万人に気に入られる番組なんてスパイスの効いてない料理と同じで、旨みも何も無い当たり障りの無い無難なものでしかないのですから。
所詮、今大河ドラマを見る人々は、度重なる裏切りにも屈しない、よっぽどの懲りないマニアか年配層だけなのですから、思い切ってマニアックに攻めた方がよっぽど共感されると思うんですけどねぇ・・・

そもそも、NHK大河には毎回テーマがあって、時代を反映したテーマで大河は構成されていると言うのですが、今の時代に何故?清盛と疑問に思い、今回のテーマを調べてみましたら「一族の絆を描く平安のゴッドファーザーだそうです・・・
ああ。。。又、絆かと3.11以降、日本全国“絆”が大安売りとなっており、言わんとしていることは分かりますが、清盛の歩んで来た人生と現代日本人が求めている“絆”をリンクさせようと思うことにそもそも無理があると思うのですが・・・何でもかんでも絆と言えば視聴者の共感を得られるであろうという考え方に薄っぺらさを感じてしまいます。

但し!最初にも言った様に、私個人的には今年の大河は結構喜んで観ています。何故なら、自分のよく知らない、興味の無かった時代を再度、検証することが出来たからです。
大河のドラマとしての出来はともかくも、当時の武士の位置付けや貴族方との関係や時代背景など、平安期は全く興味の無かった私が少なからずも、勉強してみようかと思った事に対しては、さすがNHKと感じました。
大河の内容を鵜呑みに出来ないからこそ、自分で調べ、納得し、時代背景や人物相関が分かると、更に突っ込んで調べてみるといった、ここ数年の戦国BIGスリーが主人公だった大河に比べ、俄然!見る気と向学意欲が違うのです!
昨年の様に馴染みがある時代だと、余りの惨さにテレビに向かって真剣に突っ込んだり、途中から耐えきれなくなり観るのを断念するなど、一般大河ウオッチャーとしてあるまじき行為へと走ってしまうのです。
そう考えれば、今回の平清盛はまさに私にとっては未知の世界!新たな歴史の扉が開かれたということです。
何でもそうですが新しいものに触れ、発見することはまさに智の要求を満たすことでもあり、「智の快」とでも言うべき素晴らしき発見です。私は両師匠ほど読書はしませんが、本を読み、映画を観ることで様々な疑似体験が出来るのも「智の快」であり、我々が心の豊かさを得るために必須だと思います。
時代はあくせくし、心の安寧を求めることは日々難しくなっています。心因性の疾病が増加し、様々な症例として存在するのも事実です。このちょっとした「智の快」の中に心の闇や、埋めることの出来ない隙間を埋めてくれるヒントがあるのではと思います。
話がまたもや大きく逸れましたが、大河ドラマも見方によっては心が豊かになるのだなぁという壮大なお話でした・・・足りないモノは補填しながら観る、それが昨今の大河ウオッチャーのお作法なのです・・・

三浦寛 操体人生46年の集大成 "操体マンダラ Live ONLY-ONE 46th Anniversary"は2012年7月16日(海の日)に開催致します。

2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催決定