東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

東西医学の交流地点

いつの時代にも「中西医結合」とか「東西医学の融合」を唱える先生はいらっしゃる。
橋本敬三は、この問題に関してどう考えたのだろうか?
「生体の歪を正す」を読んだ時、私は「操体を学ぶにあたっては、西洋医学も東洋医学もある程度勉強しておかなくてはならないな。」と思った。また「文章の書き方が面白いな。」とも思った。
操体(法)は、橋本先生が「野次馬根性」をもって拾い集めて来た宝物を、橋本哲学・宗教観・生命生理感と呼ばれるもので結合し、化学反応を起こして創造したものである。
ここで、そのパーツを分解して並べてみたいと思う。


・意識(的なもの)― 客観的に捉えられるもの
 解剖学・生理学・運動学
 正体術・カイロプラクティック
 指圧・按摩・鍼灸(物療としての)など

・無意識(的なもの)― からだ(身体・自然・宇宙の一部)のホンネの表現方法
 経絡・経穴 腹証・背候
 相似象
 秀真伝
 ヨガ      など


中沢さんの説に従って展開してみた・
ここで私は、
意識(的なもの)を、形や言葉で表現出来るもの。客観性があり定量的(数字で)表現出来るもの。とした。
無意識(的なもの)を、からだのホンネの表現方法。宇宙意識に繋がるもの。個人や民族の深層心理に在るもの。とした。
こうして見ると、橋本先生は、期せずして無意識を操体の中に組み込んでいたのだ。
それと共に、橋本先生が「気」という言葉を使わなかった理由も何となく想像がつく。
無意識(的なもの)として分類したものは、オカルトと呼ぶ人もいるだろう。
オカルトとは、現在の科学では解明され得ないが、現実には存在する霊妙不可思議な現象を言う。将来、科学の進歩により新知見が発表され、証明が可能となればサイエンスに分類される可能性もある。
無双原理、皮電点、筋運動主因流体波動学説、などは上記の分類だと両方にまたがっている。これらは当時の先鋭なる学者、研究者諸氏による東西医学のインターフェイスであった。
最後に、冒頭に挙げた問いかけに対する橋本先生御自身による回答とも言える文章を抜書きしておきたい。
「運動系と植物系の相関の領域こそ、東西医学の融合地点ではないでしょうか。それには、運動系をもっと力学的に観察する要があるというのが私の所論です。」



半蔵