東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

創始者の盲点

橋本先生は、意識(的なもの)と無意識(的なもの)を分けずに、一つのものとして、不可分のものとして、臨床に生かそうとした偉大な先達の一人である。
橋本哲学に出て来る重要な言葉に「太極」がある。陰陽未分化の混沌とした根源的な一(初元)である。
シンプルに捉えてみれば、ここに既に操体の本来の姿が表現されている。
当然その中に無意識(的なもの)が含まれる。
第1分析を追求していった極限に、第2分析が現れた。
それは、無意識(的なもの)へのアプローチの幕開けである。そのkeywordは原始感覚であり「快」である。
今振り返ってみれば、最初から仕組まれていた事に創始者自身が気付くのに時間がかかった。
無意識(的なもの)の中に治癒力がある。
橋本先生は、その事に気付かれたのだ。
そうでなければ、
「からだが治しをつけてくれる。治す事まで関与するな。」
「これからは、動きより感覚を重視しなさい。」
という言葉は出て来ない。
最晩年にようやくそこに到達し、「これからは、患者に気持ち良さをききわけさせなさい。」という言葉をもって、三浦先生にバトンタッチしたのである。


半蔵