足腰の痛みで来院されている患者さん。
お医者さんにはいろいろと言われたようですが、
銃剣で鍛えたというからだはまだまだ元気です。
その患者さんが言いました。
「私も指圧を習ったことがあるんですよ」
「え〜そうなんですかぁ」
「シベリアにいたときに指圧の先生から習ったんです」
「えぇ?シベリアで?」
このときワタシのオツムにちょっとピン!とくるものがありましたヨ。
そうです。皆さんご存知の通り?
橋本先生も軍医としてシベリアに抑留されていたことがあったからです。
そのことは『生体の歪みを正す』の中にも「ロスケ・ヤポンスケ」として語られています。
(そこでの実際の生活は相当に大変なものだったのでしょうが、
橋本先生の書かれている内容はとても面白いのです)。
橋本先生はそこで指圧ではなく鍼などを主に使っていたようですが、
「シベリアで・・・」なんて聞くと
「もしかして・・・」なんて、つい思ってしまうわけです。
「指圧はどんな方に習ったんですか?医療の専門家の方ですか?」
「専門家かどうかはわからないけど指圧の先生だよ」
「軍医さんとか・・・」
「そういうのじゃないね」
残念ながらその指圧の先生は橋本先生ではなかったようですが、
「ロスケ・ヤポンスケ」の中に「ヤポンスケ千人の集団の中には、あらゆる職種の人間がいる」
と書かれている通り、本当にいろんな方々がいらっしゃったようです。
その患者さんも「いろんなヒトがいたよ」と言われていました。
戦後67年となり、当時を知る方が少なくなってきてはいますが、
もしかしたらシベリアで橋本先生と一緒だったという方が
まだどこかにいらっしゃるかもしれませんネ。
中谷之美
2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催